プロローグ

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彼との初めての出逢いは病院だった。 『槇村レディースクリニック・東京』 銀座の一等地にある白亜のビル。 私はビルを見上げて嘆息した。 自分の陰部に違和感を感じ始めたのは一ヵ月半前。 丁度受け持っている五歳児クラスのお遊戯会の稽古と準備に忙しかった時期だった。 痒いし、何だかおりものも白く酒粕ようなものが下着に付着して… これはヤバいと思い、同僚の是枝先生に教えて貰った病院が目の前にある『槇村レディースクリニック・東京』 産婦人科学会ではかなり有名な先生らしい。 病院は横浜が拠点。 この東京の病院はご子息が院長を務める病院だと訊いた。 女性特有の産婦人科病院に足を運ぶのは初めて。 歯医医院のように気軽に行けないのが産婦人科病院。 でも、このデリケートゾーンの痒みには耐えられない。 私は意を決して、ビルに中に入った。
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