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〈場面転換して、男二人と女一人の構図に戻る〉
「前回の長野ではシーツにびびってましたよね」
「あんなところにシーツの山があるなんて思いませんよ! え、ほんとに再生VTR流すんですか」
「もう流れてますよ、きっと」
画面の中の私はわざとらしくにやにやしている。〈もう流しましたwww〉というテロップ。
「さて前回の予告どおり、今夜は池の周りを回ります!」
「池って……」
「ざっくりだね、おい!」
「もちろん、ただの池じゃないですから」
「ねえ、どんなことが起こった所なの?」
「いつものように自分で感じてください」
〈鋭いギターのリフと同時に、木製看板のイラストが画面いっぱいに登場し、その上に次のテキストがスライドして入ってくる〉
●お約束
・仕掛け人の黒縁メガネ以外は、この場所の因縁を知りません。
・カナピとチャンは、五感を駆使しながら肝試しルートを歩きます。
・肝試し後、この地にどんな怖ろしい過去があるのか二人に当ててもらいます。
〈黒っぽい石碑のような背景に切り替わり、錫杖をしたたかに打ってさめざめと震わせる音が流れてくる。やがて、糸のように細い明朝体で次のテキストが浮き上がる〉
●今回の因縁は……
・事が起こったのは池ではなく、実はこの先の公衆トイレ。
・トイレでは二十年前に高校生カップルが自殺。
・それ以来、女の霊の目撃談がネットで拡散。
・最近ではホームレスの遺体が見つかっている……らしい。
※公共の施設であることに十分な配慮をした上で撮影しています。
〈場面転換〉
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