フレイミングナイト

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「いまさらかよ」  ついに来たのか、と思った。高校の頃から刺さっていた小さな罪悪感のトゲ。ほとんど痛みを感じないために放っておいたものが今、孵化して皮膚を食い破り始めた。 「……でもさ、ユーチューブにパクリ動画なんて山ほどあるじゃん。テレビ番組キャプチャーしたやつとか、有名ユーチューバーの削除動画アップするやつとか……。なんでうちだけ燃えんの?」 「まちがっちゃったんだ」 「まちがった? 何を?」 「本当に、おれ、なんであんなことしちゃったんだろう。戻りたいよマジで。踏み出したらさ、後戻りできないことってあるんだなって、ほんと、ほんとさ……」  後悔の念らしき殻に閉じこもろうとする原口を、私はなんとかなだめすかし、口を開かせて、苦々しい真実を吐かせた。その真実には、頭の下に尾がついていたり、手に足の指がついていたりで、とても全容を把握しづらかったが、まとめてみると次のようなことだった。  原口は、「パクリ動画だ」と騒ぐコメントに対して、一つ一つ反論していったらしい。いや、反論というよりもそれは開き直りであり、罵りであり、呪いの言葉だった。 ――オリジナル削除されてんのに、パクリっておかしくね ――みっともねーから荒らすな陰キャwww ――パクリとか言ってる奴らマジガイジ。このチャンネルのおかげでこの動画生きてんだからさ  どうやら、原口は酔った状態で勢いに任せてコメントしたらしい。最初は論理的に反論してた、と彼は言うがそれはもう立証のしようがなかった。なぜなら、原口はコメントをもうすべて消していたからだ。
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