は?覚えてないの?

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「ねぇ、昨夜のこと覚えてる?」  冷蔵庫から牛乳を出し、飲もうとしてる綾に聞いた。 「え?」  パックを持ったまま振り返った顔を見たら。 「やっぱり覚えてないのか」 「もしかして、何か……した?」 「した」 「ほんとに?最後まで?」 「しました」  結局、牛乳は飲まずに冷蔵庫へしまっていた。 「ごめん」  深々と頭を下げた。  温泉旅行から3ヶ月。  あの時、綾が言ったとおり、忙しくてすれ違いばかりだったこともあり、相変わらずのキス止まり。  まぁ、それはそれで良かったんだけど。  昨日。  仕事から帰ってきたら、珍しく綾がいて、おまけにお酒を飲んでいた。  これは珍しいなんてものじゃなく、何があったの?という状態だ。  仕事の呼び出しがあるかもしれないから、普段飲む事はなかったのだから。 「どうしたの?何かあった?」 「あ、一美! 遅かったねぇ、先に飲んでるよぉ」  すでに、呂律が怪しいじゃないか。 「だから、何があったの?」  今度は強めに聞いてみたら、少し情けないような顔をして 「自宅謹慎だって」 「そうなの?詳しく……は言えないか。でも、綾は正しいことをしたんでしょ?」 「うん」 「だったら大丈夫! えらかったね」 「一美〜」  半泣きで、抱きついてきた。 「うわっ、うん、ヨシヨシ!」  頭を撫でていたら 「一美、この匂い! 焼き鳥?」 「え、あ、うん」 「ふぅん、誰と?」 「え?」 「1人じゃないよね?」 「後輩の、男の子」 「ふうん」 「え、ちょっと!」  あっという間に押し倒された。
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