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僕は逃げなければならない。逃げて生き残らなければ、安定した将来が築けない。
無我夢中で二階の部屋に逃げる。階段をのぼる途中で男に両足の先を刺される。
僕はすがりつく男を蹴り飛ばし、二階の子供部屋に逃げ延びる。
カギはかかっていなかった。
部屋に逃げ延び、部屋に鍵をかける。
薄暗い部屋だ。私は息をひそめた。携帯電話で110番を押す。
「パパ」
娘のこまこだった。パジャマ姿だ。
その両足には包丁が刺さっている。
「パパのせいだよ。こまこはもうダメだし、弟ももうダメみたい。だからパパだけ生き残るなんて許さない」
弟? 真っ暗な部屋の中。いまいち何があるのか見分けがつかない。
こまこは壁の照明のスイッチを押す。部屋の奥には事切れている息子の姿があった。
胸には包丁が刺さっている。抵抗したのだろうか?
体中に無数の刺し傷がある。グズグズに突き刺され、内臓と血と肉と骨がごちゃ混ぜになったものが床にぶちまけられている。
両腕と顔は形が分からないくらいの損傷が見られた。
僕は息子の死に姿を見て吐いた。
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