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涙があふれるんだ。涙があふれて止まらないんだ。病気にでもなったみたいだ。涙が止まらない。嗚咽も止まらない。
止まってくれ。
せめて家族の前でそんな顔を作らないでくれ。そんな顔は作りたくないんだ。
妻も娘も不安になるはずだ。だから俺は笑顔を作らなければならないのだ。
。
。。
。。。
妻から診断書を渡された。会社に提出しないといけないという。
入院事由と今後の療養が必要であるという診断書だ。
「俺はそんなものを持っていく気はないよ」と妻に告げる。
妻は「嫌ならば、内容証明郵便で送る」といった。
病室に固定されている俺にそれを止める手立てはない。
妻は内容証明郵便で書類を送った。
後日、内容証明郵便で上記書類は返送されてきた。それもはさみで切り刻まれた状態で。
つまり会社は書類を握りつぶし、返送してきたということだろう。それも内容証明郵便でズタズタにした書類を送り返してきた。
俺は重い体をひきずり、会社の事務所に向かった。再び診断書を医師に作成していただいたうえでだ。
---事務所---
「医者から診断書をもらってきました。休職します」
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