俺の名前は無敵君

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ワンルームマンションに転居。ほとんどの家電は社宅に置き去りにした。 体を壊してからの会社の対応は早かった。 俺は使い捨てられたのだ。そして妻と娘は使い捨てられた男を信じ、絶望し、死んだ。 ---自宅--- 妻と娘の葬儀から2月が経った。 意味もなく外出をする。食事はまずい。味がわからないからだ。 妻と娘の葬儀から3月が経った。 意味もなく外出をする。主任を見かけた。俺は主任の後を何となくつけていったが、見失ってしまう。時間はあるから何度でも繰り返せばいい。何度でも失敗すればいい。失うものがない以上、取り返しのつかないミスなどない。 妻と娘の葬儀から4月が経った。雇用保険が終わった。 いまさら金などどうでもよかった。金などあったところで命をつなぐ手段にしかならない。 仕事は見つからない。だが今さら自分の余生を伸ばすためだけに働く意味はあるのか? 天井を見上げるだけの日々。昼間から隣の部屋の人間がセックスしている声が聞こえる。 壁が薄い。 妻と娘の葬儀から5月が経った。 掃除をする気力も起きない。部屋にはコンビニの弁当とカップメンとストロングゼロが転がっている。
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