俺の名前は無敵君

娘の話

多少は反省しただろう。他県から栄転してきたその男の履歴書を眺め、その顔写真をみたその時から、いじめ倒そうと思っていた。

何がパワーハラスメントだ。上にいる立場の人間が、下の立場の人間に指導をすることの何が悪いというのだ。就職氷河期世代の俗に言う社会から捨てられた世代なのだから、ただただ俺の駒になってはたらいていればいいのだ。

大勢の前でつるしあげ、能力が足りないのだからやめてしまえ

と罵倒し、今日は開放してやった。

昼食の最中、流石にあれはやりすぎだったのでは？と主任の私に対して、係長がはなしかけてきた。お前をターゲットにしてもいいんだぞ、と笑うと、係長は何も言わずに去っていく。能力も人を従わせる力もない人間は妄言を吐くな。

仕事は定時にはおわらないものだが、他の社員におしつけて帰ることにした。

どっちみち、責任を取るのは僕になる予定なのだ。だが、大きなトラブルが起きない限りは極力、下の人間になすりつけようとかんがえている。