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「あーっ! わかったぞ!」と、またしても夏美が鷹西を指さす。
「こ、今度はなんだよ?」
「おまえ、本当は、鷹西さんに化けたニセ者だな? 正体をあらわせっ! えいっ、えいっ」
そう言いながら、残り物のポップコーンを投げてくる夏美。
ダメだこれは……。
鷹西は溜息をつき、助けを求めるように絵里を見た。
「酔い覚ましに寮まで歩こうかと思ったけど、無理かなぁ?」
絵里が首を傾げる。
「鷹西がおぶっていけばいい」
さらっ、と城木が言った。
「なに言ってんだよ?」
「それ、名案だと思うけどなぁ」
三ツ谷も言い、長瀬も頷いている。
「そもそも、夏美が拒否するよ、きっと」
肩を竦めながら鷹西が応えた。
「そうでもないみたいよ」と絵里が笑いながら夏美を指さす。「寝ちゃった」
見ると、彼女はさっきまではしゃいでいたのが嘘のようにグッタリとカウンターに身体を預け、眠り込んでいる。
まいったな、と頭を搔く鷹西。
「さあ、よろしくね」
三ツ谷が鷹西の肩を叩いた。
絵里が夏美の身体を起こす。まったく目を覚ます気配がない。
結局そうなるのか……。
溜息をつきながら、鷹西は身体を屈める。背中に夏美の柔らかな身体を感じ、思わず胸が高鳴ってしまった。
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