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SCENE5 神奈川県刑事部警捜査一課 徳田班
立木の誕生日パーティの翌々日、夏美は恐る恐る出勤した。
翌日だった昨日は非番なので寮で休んでいた。と言うより、生まれて初めて二日酔いというものになり、昼過ぎまで寝込んでいた。そして、夜に絵里からパーティでのことを聞かされ、真っ青になった。
捜査一課、徳田班には既に鷹西がいる。
そーっと近づく夏美。こちらに気づいた鷹西と目が合うと、その表情を窺いながら「おはようございます」と挨拶した。
「ああ、おはよう」
ぎこちなく返してくる鷹西。
「あ、あの……。私、一昨日は鷹西さんに寮までおぶってもらったそうで……」
「ああ、そうだったな」
鷹西は素っ気なく応える。
「すみませんでした」頭を深々と下げる夏美。「私、あの時のことほとんど覚えてなくて……」
「覚えてない方が幸せだ……」
意味ありげに言われ、夏美の心はざわつく。
「何か、すごく失礼なこと言ったりやったり、しました?」
「それはいつものことだろう?」
「なんでそんな意地悪なこと言うんですか?」
思わずムッとする夏美。
「おっ! そこで言い返す? あの日何があったか、今ここで並べたててやろうか?」
「わぁっ! ごめんなさい」夏美は慌てて手を振り、また頭を下げる。「私、そんなにいろいろやっちゃいました?」
不安そうな彼女の顔を見て、鷹西がプッと吹き出した。
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