SCENE5 神奈川県刑事部警捜査一課 徳田班

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 「まあ、すぐ返事が欲しいと言っているわけじゃない。こういう話があるということを、頭のどこかに留め置いてくれればいい。今日はそれを伝えに来たんだ」  夏美の迷いを見てとったのか、松田がそう言った。  「ありがとうございます。光栄です」  素直に頭を下げる夏美。  「ところで」と松田がくだけた感じになった。「君は、あの鷹西君と仲が良いそうだね」  「い、いやぁ、仲が良いというわけでは……」  「俺の頭を悩ませる事では1,2を争うヤツらだよ」  徳田が苦笑しながら言った。  「そんな……」バツが悪そうに顔を伏せる夏美。そして松田を見た。「鷹西さんとお知り合いなんですね」  「ああ。何度か柔道大会で対戦させてもらった。自分が今まで一度も勝てなかったのは、彼とこの徳田さんの2人だけだよ。今度また、胸を貸してほしいと伝えておいてくれないか」  「え? は、はい」  「彼も、以前SATに推薦されたことがある。自分がまだ隊員だった頃だ。彼の場合は、優秀だけどちょっと破天荒すぎて、規則や規律に厳格なSATには馴染まなかったのかもしれないね。もしかして、君もそうなのかな?」  「い、いや、私は……」  「似たところはあるな」  徳田が頷く。  「そんなことありませんっ!」  慌てて否定する夏美。  松田はフッと笑うと「じゃあ、考えておいてくれ」と言い残し、部屋を出て行った。  SATかぁ……。  複雑な思いはまだ続いていた。
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