SCENE6 川崎市内の工業地域付近

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 守岡は言い終えると「じゃあ」と手をあげて離れて行った。高台から下り、ちょっとした並木道を歩く。  高井はしばらく待ってから行こうと思い、もう一度工業地域の夜景に目をやる。  その時――。  ぎゃあぁぁぁっ! と激しい悲鳴が聞こえてきた。守岡だ。  「どうした?」  声をあげながら駆け出す高井。  しばらく下ると、木々の間で何かが燃えていた。  な、なんだ? 何が……?  用心しながら近づいていく。よく見ると、炎の中に人の形があるのがわかった。  ま、まさか!  唖然とする。さっきまで普通に話していた守岡が、燃えている。既に命はないだろう。固形燃料のようになっている。  「守岡っ!」  無駄とわかっていても叫んでしまう。  だが、当然応えはない。ただ焦げていくだけだ。  そんな馬鹿な。いったい何が……?  不意に背後に気配を感じた。慌てて振り返る。  そこに、欧米人と思われる男が立っていた。  「なんだ、おまえは?」  慌ててホルスターから銃を取り出す。  男はゆっくりと手を上げた。無抵抗を示すつもりか? だが、どこか余裕があり、不気味だ。  何かが胸にぶつかったような気がした。痛みはない。小さな虫だろうか?  すぐに気を取り直し、男としばし向き合う。  ん? 自分の身体に違和感を覚える高井。  熱い――。  身体の内部に、なぜか熱を感じる。それがどんどん高温になり、そして全身にまわり……。  うっ、うわぁぁぁっ!  高井は自分が燃えあがるのを最後の光景として見る。そして意識は途絶え、黒い炭へと化していった……。
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