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SCENE9 神奈川県警刑事部捜査一課 徳田班
出勤と同時に徳田に呼ばれた夏美が小会議室へ行くと、すでに立木が来ていた。
「おはようございますっ!」
笑顔で挨拶する夏美。その姿を見て、徳田も立木もフッと笑う。
「いつも元気がいいな、月岡は」
「その明るさも、人気の一つなんでしょうね」
2人に言われ、こそばゆくなる。彼らから見ると、夏美など娘のようなものだろう。実際に徳田は父と同僚だったし、立木は先輩だ。
「もう聞いていると思うが……」と徳田が切り出した。「鷹西はしばらく、国際刑事警察機構に出向となった深山早苗君のガードをする。極秘会議を開催するらしい。たぶんみなとみらいの国際会議場のどこかだろう。そのための調整期間から会議終了まで、ほぼ毎日護衛だ」
「はい」と頷く夏美。昨夜、早苗からの連絡で聞いていた。
国際刑事警察機構の会議かぁ。早苗さん、すごいなぁ……。
改めてそう思った。ガードをする鷹西を羨ましくも感じたが、もし襲撃しようとする者がいる場合、小柄で華奢な夏美よりガッチリした男性の方が抑止力があっていいだろう。
「ということで、ヤツはしばらく徳田班からは離れる。寂しいだろうが我慢しろ」
「そ、そんな……。別に寂しくなんてありません」
強い口調で応える夏美。
「わかった、わかった」
肩を竦める徳田。その隣で、立木が微笑んでいる。
「まあ、それはいいとして、本題に入ろう」
そう言って、徳田と立木が目配せし合った。真剣な表情に戻っている。立木の方は、少し辛そうでもあった。
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