SCENE9 神奈川県警刑事部捜査一課 徳田班

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 何だろう……?  不穏な空気を感じ、夏美は気を引き締めた。  立木がホワイトボードに写真を貼っていく。4枚。全部男性が写っていた。そのうちの1人を見て、夏美はハッとなる。見覚えがあった。  「この人は、確か……?」  立木の顔を確かめた。彼は険しい顔で頷き、口を開く。  「ああ。私の知り合いだ。昔一緒に仕事をしたこともある。この間のパーティにも出席してくれた。白石忠範という男で、最近は公安の方に所属していた」  「もう1人、こちらの男性も公安捜査官だ」徳田が別の写真を示しながら話を引き継ぐ。「高井信忠。そして、その他の2人はジャーナリスト……」  「この方達が、いったい……?」  疑問の表情を浮かべながら夏美が訊く。嫌な予感がした。  「ここ一週間のうちに亡くなっている。不審死と言っていい。焼死したんだ」  徳田が言った。重い口調だ。ホワイトボードに貼られた写真の横に名前を書き、他にも日付や文字を書き込んでいく。  最初に焼死したのが青木旬一、ジャーナリストだ。次が公安捜査官の高井信忠とジャーナリストの守谷武。2人、同じ場所で焼死している。そして白石忠範……。  「4人が焼死? しかも、公安捜査官とジャーナリスト。これは、不審死というより……」  あきらかに異常事態だ。殺人では、という言葉を夏美は口にしそうになった。  「今のところ、そうとしか言いようがない。全員目撃者のない場所、時間帯だった。解剖の結果、不思議なことに、皆身体の内部から火の手が上がって燃えていった痕跡があるらしい」
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