SCENE10 移動中の車内 夏美 立木

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 「厄介者がいなくなるって、ホッとするかもしれませんよ?」  「可憐な花が厄介なわけないじゃないか」ハハッと笑顔で言う立木。「君のような刑事は、捜査一課にも必要だ。おそらくどこへ行ったとしても活躍できるし、重要な人材になるだろう。君自身にとって最もふさわしい場所で働けるのが一番だが、なかなかそれがどこか、自分ではわからないものだからね。じっくり考えてみればいい」  「そうですね……」  「そういえば、鷹西もSATに推薦されたことがあったな」  「ええ。私も聞きました」  「あいつはなぁ……」立木は笑いながらも首を傾げる。「良い刑事なんだが、どこか刑事らしくないところもあってなぁ。変わったヤツだよ。組織の中で上を目指す、っていう気持ちがあまりないのかな?」  「さあ、どうなんでしょう?」  「悪を憎む気持ちは人一倍強いんだが、それは別に従来の警察のやり方に乗っ取ってやらなくてもいいんじゃないか、って思っているところもあるみたいだな。そこは、あの三ッ谷君とも似ているような気がする」  なるほど、と感じる。そう、枠や型にはまるのを好んでいないように見える。これまでのやり方や警察としてのしきたりを踏襲しなくても、犯罪を駆逐できるならいいじゃないか、という姿勢。それは三ッ谷とも通じるところがある。だから仲が良いのだろうか?  そんなことを考えているうちに、目的の所轄署が近づいてきた。気持ちを事案に戻す。そう、人が体内から燃えてしまうという、不思議な事案に……。  あの2人にも、この件についてちょっと意見を聞いてみようかな?  ふと、夏美はそう思った。
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