SCENE11 警察庁~国際刑事警察機構日本支部事務所の一つ

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 今回も、彼女は単に研修を行うだけに留まらず、帰国と同時に重要任務に就くようだ。鷹西はそれを補佐するように言われてきた。  「実は、国際刑事警察機構(インターポール)主催で、非公式な会議が開かれるの。主要各国の警察から、信用できると思われる人達が集まる」  「いったい何の会議だい?」  「ファントム対策について、よ」  「ファントム、ってなんだい? ゲームキャラの名前にしてはベタだが?」  「そうか、警察官でも知らない人は多いわね。私だって、これまでは単なる都市伝説と思ってたし。ファントムは国際的なテロ請負組織よ。ここ数年で急激に勢力を拡大してきたの」  「テロ請負組織? なんだそれは? 依頼されてテロを行う、っていうことかい?」  鷹西は目を見張った。そんな組織が本当にあるのか?  「そう。誰かを殺したいと思って殺し屋を雇うのと同じ事。何か破壊活動をしたいと考えて、それに長けた人間を雇う。言ってみれば破壊活動のプロを抱えた斡旋組織ね」  「プロのテロリストなんていうのがいるって?」  「うん。いるのよ。政治的や宗教的な思想を持たない、何でもいいから破壊活動をしたい、そのために腕を磨いてきた、っていう者達が……」  息を呑む鷹西。早苗も真剣な目をしている。  「例えばの話だけど、神の領域に踏み入るようなことだから遺伝子の研究をやめるべきだ、って考える新興宗教団体があったとするね。そこの主要人物達が過激な方へ進んじゃって、研究をやめない国へは何らかの破壊活動をして思い知らせてやろう、って考えた。でも、そんな戦闘能力は持っていない。じゃあどうするか? 信者を訓練してテロリストを育成するより、既にテロリストとしての能力を持っている者に依頼した方が手っ取り早い。どこかに斡旋してくれる所はないだろうか? ……それに応えられるのが、ファントム」
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