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「ファントムの側としては、そんな会議を開かせたくないし、そんな情報は破棄したいことだろうな。どこにあるんだ、その情報は? ネット上っていうわけじゃないよな」
「国際刑事警察機構のしかるべき場所にデータとして保管してる。そしてそのデータのコピーは数名が持っている。その内の1人が私よ」
「なんだって?」
唖然とする鷹西。
「今回の会議で、データを各国の信用できると思われる人物達に渡す役目を、私が任されたの。会議実施のための調整やそのデータの管理。それが、研修開けに指示を受けた私の任務。鷹西君には私のガードをしながらそれを手伝ってほしいの」
ふぅ、と鷹西は息を吐き出した。思っていたよりずっと重い仕事になりそうだ。
「俺を指名してくれて光栄だよ」
そう応えて頷くと、早苗は笑った。
その後しばらく、今後のスケジュールなどを打ち合わせた。そして一息つく。
張り詰めてばかりだと気も休まらない。お互いに頃合いだと思ったのだろう、どちらからともなく仲間達の話になった。
「……そういえば、この間の立木さんのパーティ、楽しそうだったね。私も参加したかったなぁ」
「三ツ谷が寂しがってたぞ」
「え? 三ツ谷君が? なんで?」
「なんでって、そりゃあ……」
察してやれよ、と胸の奥で訴える鷹西。
三ツ谷は早苗に憧れている。彼女の方も、彼のことを少なくとも良い友人とは考えているだろう。それ以上に思っているかどうかは微妙だが……。
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