SCENE11 警察庁~国際刑事警察機構日本支部事務所の一つ

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 「ところで、夏美とはうまくいってるの?」  早苗が鷹西の顔をのぞき込むようにして訊いた。  「うまく、って……。捜査はちゃんとやってるぞ」  「そういうことじゃなくてさぁ……」  焦れったそうな声を出す早苗。  更に突っ込んできそうな彼女を躱すために、鷹西は何か話題を探す。  夏美と言えば、最近SATに推薦されるというような話があったらしい。すごいことだ。だが、鷹西にはそれについて何も言わなかった。彼が過去に推薦されながらご破算になったのを、気遣っているのかもしれない。  その話題にふれるのも気がひけた。じゃあ、あいつが今やっている事と言えば……。  「そうだ、今、立木さんと組んで妙な事案を調べているらしい」  「妙な事案?」  「ああ。班長から聞いた。人体自然発火現象みたいなのが連続して起こっているそうなんだ。今のところ事件というより事故という扱いみたいだけど、きな臭いって言うんだ。それを、夏美と立木さんに調べてもらうつもりだ、って」  鷹西は概要を説明する。   「ふーん。オカルトだね、まさに。でも、ちょっと待ってよ……」  何かが引っかかっているような表情で、早苗が首を傾げる。  「どうかしたのか?」  「人体自然発火現象……確かどこかで聞いたような気がして」  「だから、昔からオカルトの話であるだろう?」  「ううん、そうじゃなくて、最近どこかで……」  「最近? どこかで同じような事があったって言うのか?」  「そんな気がした。海外のどこか……。うーん、なんだったかな?」  鷹西は胸にざわつきを覚えた。  なんか、やばい事件に発展するんじゃないだろうな? 夏美のヤツ、大丈夫か?
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