SCENE12 神奈川県警科学捜査研究所

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 「うん。でも、そんなことが自然な状況で起こるとは思えない。変異物質なんかも、そう簡単にできるものではないしね。それが4件も連続して起こるなんて異常だよ。もし本当に、その変異物質が原因だとするなら、自然現象じゃない」  「何者かが意図して、っていうことですか?」  夏美が恐る恐る訊くと、長瀬は「その場合は、そうなるでしょうね」と頷く。  息を呑み、夏美と三ツ谷が目を見合わせる。  「水に反応して燃える物質を、何らかのかたちで人に投与して焼死させる、なんていうことができるのかな?」  三ツ谷が首を傾げる。  「前代未聞だね。でも、不可能じゃない。以前どこかで、それに近いような話を聞いたことがあるんだよなぁ……」  何かを思い出そうとして目を瞑る長瀬。  「えっ? これと似たような事件があったんですか?」  勢い込んで訊く夏美。長瀬は手を上げて彼女を抑える。  「いや、そうじゃないんです。ただ、そういう危険な物質をつくろうとしたとか、実際つくったとか……」  彼はもどかしそうに首を傾げ、必死に思い出そうとしている。だが、なかなか難しいらしい。  「いずれにしても、もし何者かが意図してその4人を燃やしたんだとしたら、それはとんでもなく恐ろしい奴だよ。夏美さん、慎重に捜査を進めないと」  三ッ谷が真剣な表情になる。  「そうですね。被害者の4人が公安捜査官とジャーナリスト、っていうのも気になります。なにか重大な犯罪や、大きな闇を追っていたのかもしれない」  険しい表情で応える夏美。  何者かが、特殊な方法で人を燃やしてしまう……。そんなことを許していいはずがない。  3人とも深刻そうに溜息をつく。いつしかラボの中を不穏な空気が漂っていた。
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