SCENE13 横浜市内 とある土手

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 「あまり時間をかけるのも良くない。単刀直入に訊きます。先日亡くなった白石君は、何を調べていたのでしょうか? その対象と彼の死に関係があるとは思えませんか?」  ストレートに訊いた。同僚なら、あの不審な死について思うところもあるだろう。  津山はふう、と軽く息をついた。秋空を見上げしばらく物思いにふけるような表情をしている。立木は辛抱強く待った。  「ファントムに関することです」  ぼそっと小声で呟くように言う津山。  「ファントム……?!」  立木は思わず声をあげそうになってそれを抑える。ファントムとは、あの……?  噂では聞いていた。近年台頭してきた、国際的テロ斡旋組織。ある意味都市伝説と近い扱いをされてもいたが、国際問題に詳しい捜査官達の間では、確実に存在すると言われている。  「ファントムに協力している疑いのある警察官僚を調べていた……」  相変わらずぼそっと話す津山だが、その横顔をチラリと見ると、苦渋に満ちているようにも思えた。  「なんですって? まさか……」  息を呑む立木。警察組織の中枢に、凶悪なテロ請負組織への協力者がいるというのか?  「非常に恥ずかしい話ですが……」  津山が俯き、そして膝の間まで顔を落とすかのようにする。そうやってストレッチをしているふうにも見えた。口が隠れているので喋っているのはわからないだろう。その格好で続ける。  「公安警察の上層部の中にも、ファントムへ協力していると思われる人物がいます。同じ公安警察としてそれを許せず、糾弾しようとする勢力もある。そのせめぎ合いが続いています。私や白石君の班は、もちろん後者の先兵として捜査を続けていました」
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