SCENE15 国際刑事警察機構日本支部事務所の一つ

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 「ちょっと待て。まさか、日本でそのテロが行われるとか言うんじゃないだろうな?」  鷹西が慌てた。  「その可能性が高まったような気がする。これもまた、はっきりとしたことがわかっているわけじゃないんだけど、ファイアーマン・ブラザースっていうテロリストの兄弟がいるらしいの。ファントムに所属している」  「ファイヤーマン・ブラザース? お笑い芸人みたいだな」  不穏な空気に飲み込まれないよう、あえて軽口で応える鷹西。  「ここ数年、何らかの施設やちょっとした街が、火災に見舞われるようなテロが増えているの。爆破ではなく、急激に多量の火の手があがり、一気に燃やされてしまう……」  「そんなことが……?」  爆発で瞬時に建物が破壊され人が殺されるのと、多量の炎で燃やされていくのとでは、どちらがより悲惨だろうか? 比べて考えようとして、鷹西は首を振る。  「それらは、炎を操るテロリストの異名で近年台頭してきた、ファイアー・マンブラザーズの仕業だと言われているのよ」  「炎を操るテロリスト……。まさか、今、夏美達が調べている焼死事案も?」  「インドネシアの焼死と同じような状態だとしたら、どちらもファイアーマン・ブラザースの仕業っていう可能性はあるわ」  「それで、この日本で炎を使ったテロを行う可能性があると?」  「ファイアーマン・ブラザースが日本に入り込んでいるんだとしたら、暗殺だけして帰って行くとは思えない。何か大きなテロを狙っていると考えた方がいいわね、その、インドネシアのルピス島を大惨事に追い込んだような……」  「まいったな……」大きく息を吐き出す鷹西。「何かそのイカれた兄弟について、わかっていることはないのか? 名前とか、背格好とか、顔つきとか……」  「まったく不明。わからないから都市伝説とごっちゃになってるのよ。所属するファントム同様ね。ただ、噂としては、元消防士だからファイアーマン・ブラザースって呼ばれているらしいわ」
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