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「何で元消防士が火をつけるんだよ? 炎に魅入られて、消すより燃やすのが好きになっちまったのか?」
「知らないけど、そんなところかもね。もしできるなら、鷹西さんが捕まえて、そのへんも聞き出してほしいわ」
溜息をつき、頭を抱え、そして顔を上げたと思えばコーヒーを一気に飲み干し……とてつもない話を一気に聞かされ、鷹西はどうすればいいのかわからず混乱した。
「今は私の想像でしかないけど、関連性が疑われる以上、国際刑事警察機構日本支部を通じて公安警察に伝えてもらうわ。これからそのための資料をまとめる。ちょっとだけ勤務時間延長してね」
「いくらでも延長してくれ。そうだ、夏美や立木さんにも充分気をつけてもらった方がいいな、そんなイカれたヤツらが潜んでいるかもしれないんじゃあ。夏美にも教えてやってくれ」
「はあ?」顔を顰めて鷹西を眺める早苗。「なに言ってるの?」
「なにって……?」
「自分ですればいいじゃない。私はこっちで忙しいんだから」
「じゃ、じゃあ、班長に連絡しよう」
「夏美に直にしなさいよ。このところ会ってないんでしょ? 声くらい聞かせてあげて、優しい言葉の一つもかければいいじゃない」
「なんで俺がそんな事を?」
「なんで、じゃないでしょ? どうしてそこで躊躇うのよ? そんなことだから、中学生レベルだって言われるのよ、あなた達」
まくし立てられ、返す言葉をなくす鷹西。渋々ながら、スマホを取り出した。
「あっ!」突然早苗が何かを思い出したような顔をする。「いいこと教えてあげようか?」
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