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「どうしたんですか、急に?」
「声が聞きたくなった」なんて言われたらどうしよう? などと勝手に想像してから慌てて首を振る。
「いや、気になることがあったんでな」
「気になる? 事件についてですか?」
ちょっと残念に思うが、すぐに気持ちを戻した。
「ファントム、って知ってるか?」
「ええっ?!」
意外な言葉に、思わず大きな声をあげてしまう。
「どうした?」
鷹西の方も夏美の反応に慌てているようだ。
「どうした、って……。だって、なんで鷹西さんがファントムのことを?」
「なんで、って……。知ってたのかよ?」
驚きあっているだけでは話が進まない。夏美はここまでの経緯を説明した。峰岸からファントムについて聞いたこと、そして、明日立木とともに公安捜査官だった白石の上司に会い話をするが、彼らがファントムについて調べていたらしいこと等……。
「そうか。そこまで知っていたなら手っ取り早く進められていいや。実は、そのファントムに所属するイカれた兄弟がいるらしいんだ。ファイアーマン・ブラザースっていうんだが……」
「お笑い芸人みたいですね」
「……!」
「どうしました?」
「いや、同じような反応を誰かがしたなぁ、と思って……」
「え? 深刻な話になりそうだったから、あえてゆるくしたんですけど……」
一体誰が? と思いながら、訊いてはいけないような気がして口ごもる夏美。
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