43人が本棚に入れています
本棚に追加
えぴろーぐ
ひと月、病院でお世話になって、松葉づえと共に瑞樹は実家に舞い戻った。
「死にかけて夢の中でバイトしてたぁ?」
生死の境をさまよっていた時に見た不思議な夢、というかアルバイト。それを話したら素っ頓狂な声を上げたのは兄だ。
「……死んでも働くってヒドくない!? オーナーはイケメンだったし、仕事は店に来るお客に飲み物を出して話をするだけで楽なんだけどさぁ。最後にお客を川の向こうへ見送るの」
「それって、思いっきり死に水と三途の川じゃねぇのか?」
(は?)
綺麗な笑顔――良い旅路を。
残念そうな顔――彼女はまだここへ来てはいけない人なんです。
有無を言わせぬ声――向こう岸がどんなに魅力的でも行っちゃダメだ。
ようやくそれらの意味が分かった。
「だから川を渡るなって――!」
どうやら三途の川を渡る前に一息つくカフェがあるらしい。
(それにしてもあのカフェ、給料未払いのブラック企業なんですけど!!)
☆お読みいただきありがとうございました☆
最初のコメントを投稿しよう!