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彼女が立ち止まったのは蔵を改造したとおぼしきカフェの前。
ぴらりと一枚、張り紙がある。
赤い文字で――アルバイト急募!! とある。
気になる。というかやってみたい。
(と、思っても接客はやったことないしなぁ)
これまでの職歴は事務仕事が中心。
電話応対はするが接客は学生時代の文化祭ぐらいしかやったことがない。
(でも、それもいつまでもつか心許ないし。仕事を選んでる余裕はない)
自宅は最寄りの駅から二十分の安アパート。
実家に両親が健在だが同居する兄夫婦がいて実家には戻りづらい。
(お見合いでもしておけばよかったかなぁ)
などと都合よく後悔してみる。しかし、無職というのは先立つものが心配だ。
今は少しの貯えがあるが、それもいつまでもつか……背に腹は代えられない。
(実家に頼らず一人で生きて行くって決めたんだ)
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