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プロローグ
― 午前十一時 総理官邸 ―
間もなく新たな政権が始まりを迎えようとする最中、一本の緊急連絡が総理へと繋がれた。
「何を言っている!
新政権発足を辞退しろだと? ふざけるのもいい加減にしろ!」
巨大地震発生により人口の三分の一を失い、揺れ動く世論をまとめ上げ再び新政権として辿り着いた旅立ちの日、反政府軍の一部による脅迫行為は幾度となく続いていた。
「脅しには屈しない。これまで流した多くの同志、彼ら犠牲者の血を無駄にすることはできない。強行発足だ、特殊部隊でも軍隊でも何でも構わんっ! 反逆者は全て始末してしまえ!」
冷静さを失いつつある総理の元へ一人の女性側近が声をかける。
「状況を報告いたします。今回脅迫を受けたターゲットは、ご子息が通われる学校を含めたニ十校の校名が送られてきました」
「な、なんだと……」
未来を背負う無抵抗な子供達を標的に強行発足を阻止する反政府軍。軍と言えどその多くは民間人、良識ある者達ではない強奪・殺人などを繰り返す悪に染められた者達により構成されていた。
「わかった……。全警察及び特殊部隊、陸軍基地より自衛隊も総動員で直ちに警護避難誘導を、怪しき者への即時発砲を許可する」
都内では慌ただしく警察及び軍事行動が迅速に遂行されてゆく――。
正午をまわり緊急放送の中、全国民へ向け新政権発足による国家再始動が発令。全ては滞りなく終焉を迎えようとしていた。
「我々は悪には屈しない、正しい国へ導くべく共に戦う事を誓う」
一部無法地帯化としたこの国の立て直しを図るべく動き始めようとする国政。新政権の結束と権力により、反政府軍を一気に潰しに掛かる計画が始まりを迎える。
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