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― 刑務所長室 ―
「はははっ、それは楽しみですな。柳沼大臣、我々はこの命尽きるまであなたについてゆきます。あっ、少々お待ちを――」
刑務所管轄である法務大臣の電話を遮りながら所長が耳にした朗報。
「大臣、本日収容されました例の新聞記者の男。もうご心配はいりません。出る杭はキッチリ打ち込みました。我々も警戒していましたが、噂程の男では無かったようで、ご安心ください」
警棒に付いた乾いた血液を濡れ雑巾で拭き取りながら所長へと報告に訪れた一人の看守、工藤看守長。彼は刑務所長の右腕の存在であり現場の実権は全て握っていた。
「所長、わざわざ八名の看守を準備させましたが、ただの負け犬。あんな男の何を怯えていたのですか?」
「ドクドクドクッ」
職務中にウイスキーをグラスに注ぎ入れ、指先で氷を回し冷え切った人差し指を舐めまわしながら所長は答える。
「工藤――、そろそろこの席に座らんか?」
「えっ……」
そして、所長の口から極秘計画が語られてゆく――。
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