1話 パスワード

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1話 パスワード

あーまじで、頭が痛い。毎日こんなにパソコン見てるからだろうか。僕はつり革に捕まりながらされるがままに 揺られていた。 終電前の電車のせいか辺り一面サラリーマンだった。疲れた顔で、一日の疲労感が分かる。見てるこっちまで疲れるから気が滅入る。僕は電車の窓に目をやる。女子高生がスマホをいじっていた。今時のJKだ。 僕は腰を屈めて顔を覗いてみた。綺麗な顔立ちをしていた。芸能人に例えるなら北川景子みたいな感じだ。 目鼻口がしっかりしてて、綺麗に配置されている。癒されるなあとか思いつつ、あんまり見てると怪しまれるかなとも思いつつ、窓の外の景色を眺めた。 家の灯りがぽつぽつ見える。こんだけ人がいれば1人ぐらい仕事辞めても変わんねーだろと思った。暫くボーっと見ていると、窓ガラスに一つの明かりが映った。それはさっきの女子高生のスマホの画面が反射して映し出された物だった。 映っていたのは丁度スマホのロック解除の画面であった。彼女はパスワードを打ち始める。 「1580」 彼女はそう打ち込んで、YouTubeを開いた。彼女が見ている動画は奇妙な動画だった。その内容は人間の体の構造の説明をしている物だった。僕は暫くぼっと見ていたが、何だか視線を感じた。その視線は女子高生の物だった。すごい形相で睨んでいる。僕は気まずくなって目を泳がし、電車の広告に視線を移した。 そうして、暫く広告を見つめていると目的地に辿り着いた。僕は逃げるようにして電車を降りた。その時、一瞬だけ女子高生の顔が見えた。何か口を動かして話していた。僕は読唇術なんて習ってなどいないけど、何故だか彼女が何を言っているか理解できた。 「見つけたぞ。」 そう、彼女は言っていた。
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