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8話 逃亡
裏口の外は麦畑になっており、僕らの身長を優に隠すほどの高さがあった。僕とニックは進み続けた。
「ニックって言ったな。ちなみにこれからどこに向かうんだ?」
僕がそう尋ねると、ニックはビックと身体を震わせながら答えた。
「め、メルソンさんのところに。グリーンウッドさんはそこにロックさんを連れて行けって、おいらに。。」
「メルソン?何をしてるやつなんだ?」
「お医者様です。」
「医者か。どう行くんだ?」
「このまま北西にずっと進みます。そ、そこに小さな集落がありますので、さ、そこで休みます。そ、その後、一つ大きな川の向こうにガラバル市という大きな街がありますので、そこにおられます。」
「ガラバル市?どんな街だ?」
「凄くオイラは住みやすい街だと思ってます。ひ、人がみんな無関心だから。」
「それは確かに住みやすそうだ。」
僕はなんだか、少し東京に似ているのかなあと思った。
「ところで、ニックお前も魔法は使えるのか?」
僕がそう尋ねるとニックはハイと答えた。
「どんな魔法?」
「オイラの魔法は派手じゃありません。だ、だからここであんまりお見せしても分からないと思います。」
「え、いいから見せてよ!」
僕が半ば無理やり見してもらおあとした時、後ろの方から野太い声がした。どうやら、先程の傭兵が追ってきていたようだった。
「まずいなあ。どうするニック?」
僕が尋ねると、ニックは平然としていた。
もっと臆病な奴だと思っていたなで、少し驚いた。
「大丈夫です。ロックさん。私の魔法はこういう時に役に立つんです。私の手を握って下さい。」
そう言ってニックは僕の手を握った。
その瞬間、一瞬周りの視界が消え、真っ暗になった。
「なんだこれ?」
「私の魔法は光を遮断させます。誰からも見つけられなくなる。」
「めちゃめちゃ、凄いじゃん。」
僕は思わず興奮してしまった。
これなら傭兵に見つからない。傭兵が僕らの横を通り過ぎていった。
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