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うみ
子供を産んだ。
非日常
その産声は大きく生命力にあふれていた
生きよう生きようという概念というかこれが生物の本能なのだろう
私だけ腕の中で大きな産声をあげる
私の子
私はお母さんになった
これから始まる人生に愛をこめて
赤子を海に投げ落とす
お母さんは「私」になった
日常
安堵感
良かったこれで私は身軽になれる
どうか
どうか誰にも見つかりませんように
一度だけの尊い人生
私は私でいたいから
あなたはあなたの道を歩んでね
日記はそこで終わっている
「母の日ねぇ」
暦に書かれたその赤い字を眺めながら僕は大学ノートに火をつけた
来月こそは良いことをしよう
ねぇお母さん
僕だって私になりたい
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