盾の戦乙女

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盾の戦乙女

僕とテラは連日の特訓で精根尽き果てて… 部屋に戻ると泥のように眠る…いう毎日を送っていた… それを他の三人の守護神は目の当たりにしてとても心配していた… 「旦那様…」 「純くん…」 「純…」 とりわけ… リンは泣きながら父親の所に押しかけて詰め寄った… 「お父様…!!!私の大切な大切な旦那様は毎日ボロボロになって部屋に帰ってきます… 私は旦那様の為に何か出来る事は無いのでしょうか…⁉︎ …うううう…」 クーファはリンの顔を見ながら「さあな…」とだけ言った。 純への想いで胸が一杯なリンは… 父のその投げやりな言葉に怒った。 「さあな…って… 旦那様はお父様の大事な弟子ではないのですか…⁉︎ そして私の旦那様ですからお父様にとって息子でもあります。…心配ではないのですか?」 「リン…お前はアイツを信じてないのか…⁉︎ アイツはな、弟子でも息子でもある前に一人の男だ。 俺は一人の男としてアイツを信じている。 アイツはな…俺と対等…いや、それ以上なんだよ。 男は背中を向けて任せられるヤツってのは自分より凄いって思ってるヤツなんだよ。 俺だけじゃなくてジークもルーニーもみんな純の事をそう思ってる… だからお前はお前の出来ることをやるんだ…!!! 分かったか…⁉︎」 「…………」 リンは父親に背中を向けて…黙って部屋を出て行った… そんな娘の背中を見送ったクーファは呟く… 「すまねぇ…アンタしかいないんだ…頼むわ…!!!」 リンはグランアンジェの女王様に会いに来た。 「おや、そなたはリン殿ではないか…どうしたのじゃ…⁉︎」 「アンジェ女王様…私に戦いの方法を教えて下さい… 魔法が効かない今、私が旦那様にしてあげられる事は限られているのです。 私はもう旦那様の足元にも及ばないくらい弱いです。 だけど…あの方のために一瞬でもお役に立ちたい…!!! 旦那様の負担を少しでも和らげたいのです。」 「ふむ……」 女王様は微笑みながら… 「純は愛されておるのう…そなたも純も本当にわらわは羨ましく思うぞ…」 そう言われた女王様は指をパチンと鳴らされた。 リンの前に神々しい盾が現れた。 「これはわらわが昔使っていた盾じゃ… わらわはお主の父上に〝盾の戦乙女〟と言われていてな…皆をこれで守ったものじゃ。 お主が純が大切ならこれで守ってやればどうであろうか…⁉︎ ただ…ちと取り扱いが大変だがな。」 「ありがとうございます。女王様…!!! じゃあ…これを……う〜ん!!!う〜ん!!! …ダ…ダメですわ…!!!」 リンは盾を持ち上げようとしたが、とても重くて持ち上がらない… 「はっはっは。それを扱うには少々コツがあってな…!!! あとは父上に鍛えてもらうがよい… 盾はオーケアノスに送っておくぞ…!!!」 そう言われた女王様はまた指をパチンと鳴らされた。 盾はその場から消えて無くなった。 「女王様…ありがとうございました。 今は…盾を持ち上げる事さえ無理な私ですが… 必ずやあの方の力となれるように頑張りますわ…!!! では失礼致します…」 リンは女王様に深くお辞儀をしてオーケアノスに向かった。 女王様はまた微笑んで呟かれた… 「リン、頑張るのじゃぞ…」
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