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世界樹の矢
将門が呟いた俵藤太を図書館で調べてみると…
俵藤太とは実は将門を討った弓の名手であった。
俵藤太とは本名を藤原秀郷と言い、近江国(現在の滋賀県)に位置する三上山を七巻半する大百足を退治した侍という伝説が残っている…
俵藤太が大百足を退治した時…やはり矢が通じず、唾をつけて八幡神に祈って矢を放つと大百足を退治することが出来たと文献にあった。
矢で射るまでは間違っていないと思う…
ただ、奴の身体を貫くための何かが足りない…
…僕は女王様に相談してみることにした。
女王様は難しい表情をされて…
「そうじゃな…矢が将門を貫けないのは恐らくは呪いのせいじゃな…」
「呪い…⁉︎」
「そうじゃ。将門は…世を人を恨んでおる。
その醜いマイナスエネルギーがあやつを包んでおるのじゃ。」
女王様はパチンと指を鳴らされると僕は一緒に世界樹の部屋の前に連れて来られたのだった…
「…すまぬな…許してくれ…」
女王様はそう呟かれると世界樹の葉を一つ千切られた…
そしてその葉を小ビンに入れて両手で包み込まれ…
一言二言…呪文のような言葉を唱えられると…
世界樹の葉は小ビンの中で小さく小さく切り刻まれていき…
とうとうペースト状になってしまった…
「純よ…この葉は生命に満ち溢れたプラスエネルギーの象徴である…
これを矢の先に塗るのじゃ…
プラスエネルギーとマイナスエネルギーが相殺されて
きっと呪いを浄化するであろう。」
女王様はそう言われて…微笑まれた。
世界樹の木を誰よりも大切にしている女王様がくださった若葉…決して無駄には出来ない。
将門は自分の居城が完成したら…きっとまた軍勢を引き連れて総攻撃を仕掛けてくるだろう…
それはみんな共通の認識であった。
当然と言えば当然だが…ローク、いや将門はもうソリューの国民達の事をかつて国王として治めていた時のそれとは同じに考えてはいなかった。
国民の事を…王である自分の為に尽くす奴隷としか思っていなかった。
そんなソリューの国民達の心は絶望のどん底にあった…
いつか自分達を救ってくれる救世主が現れるのを心から願っていたのだった…
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