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生まれ変わる国
純は雷が帯電した自分の手をじっと見ていた…
…魔王レックは業火の魔王の筈…何故自分に雷が…
「純くん…!!!」
「じゅ…純…!!!」
「純さん…!!!」
「旦那様…!!!」
「純…」
四人の守護神とアリスが純に駆け寄った…そして全員で純を強く抱きしめた…
「…それはな…審判の雷じゃ。」
そのお声に僕は振り向いて女王様の方を見た。
「審判…ですか…⁉︎」
クーファ先生も笑いながら…
「お前さんはもう魔王じゃないんだよ…」
アリスさんは僕の腕の紋章に気付く。
「純さん…!!!腕の紋章が…!!!」
「そうじゃ…純…
そなたは神王レックになったのじゃ…
魔王の業火ではなく、神王の審判の雷が将門を焼いたのじゃ。」
「神王…」
そして僕はみんなと荒廃したソリューに入り…以前…ソリュー王宮があった場所の前にやって来た…
その場所には昔の立派な王宮の面影はなく…今、僕は代わりに建てられた禍々しい将門の居城を見上げている…
その時、将門に奴隷のように扱われてきたソリューの国民が純を見つけて近寄ってくる…
「あっ…将門を倒した…魔王レックだ…!!!」
「将門を倒してくれてありがとう…!!!」
「レック…!!!レック…!!!」
レックコールが巻き起こる。
女王様が笑顔で僕の肩をポンと叩いた。
僕は一歩前へ出てソリューの人々を前にして話した。
「皆さん、もう安心です…
皆さんを苦しめていた将門ことロークは滅びました…
でもこれだけは心の何処かに置いておいてください。
皆さんが国王に推した人間に何もかも委ねるのはやめてください。
国王が決めるのでは無く、あなた方…国民こそが全てを決めるのです。
良いことは良い。間違えていることは違うとはっきりと言うことが大事です。
そうすればもうロークのような国王は出てこないと思います。」
僕は一礼してグランアンジェに帰ろうとした。
するとその中の若者が僕に向かって叫んだ。
「待ってください。私達は今、ロークに全てを奪われ、絶望のどん底です。あなたが新しいリーダーになって私達が立ち直るのを助けては頂けませんか…⁉︎
その代わり我々も必ずあなたを支えます。約束します。なぁ…みんな…!!!」
大勢の人から拍手が起こった。
困った僕はクーファ先生の顔を見た。
クーファ先生は微笑んで頷いている…
女王様も拍手してくださっている…
「ありがとうございます…僕はリーダーになれるような人間ではなくてまだまだ未熟です。
でも、皆さんが一緒に新しい国を作りたいと言われるのなら…何か僕に出来るなら協力させて頂きます。」
僕は鳴りやまない拍手と歓声に恥ずかしくなった。
でもこれから立ち上がろうとする人々の目にとても力を感じて…嬉しい気持ちになった。
皆さんに近々また将門の居城にくることを約束して…
僕はみんなとグランアンジェに戻った。
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