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深緑のプロポーズ
ミカは世界樹に泉の水をあげていた…
僕はその姿を前世で見ていたのだろう…
記憶は無い筈なのに涙が溢れてくる…
「ふう…純くーん…!!!」
ミカが僕に駆け寄ってきた。
おそらく…はるか昔、レックとヴェラが愛し合っていたように…
僕は自分の腕に飛び込んで来たミカを抱きしめて…そして口づけをした…
僕が初めて目にした時よりも世界樹の若木はその枝を大きく広げているように感じる…
「女王様はこの若木から株分けをして、世界中にこの素晴らしい樹を拡げて行きたい…その為にこの世界から争いを無くして、一つとなって成長する〝ミズガルズ〟を作ろうとしておられるんだって。僕達アースガルズにもこの樹があればいいのになぁ。」
「じゃあミカとリーエル姉さんと女王様でもっと大きくしないとね…」
「僕…ミカがカプセルの中で眠っている時、ここで色々な事を考えたよ…僕がレックだった時の事、ヴェラさんの事、小さい頃ミカのカプセルを拾った事、ミカと愛し合ってる現在、そしてこれから向かうべき未来…過去も未来も自分にとって大切な現実。
でも自分自身が自分の意思でアクセス出来る瞬間は…現在だけなんだ。
ミカの前世…ヴェラさんは僕達の世界ではヴェルザンディという現在を司る女神。
ミカとの大事な過去やミカと歩んで行くこれからの為に僕は現在…やらなくてはいけないことがあるんだ…聞いてくれるかい…⁉︎」
大きく頷いたミカは僕にピッタリと寄り添って目を閉じて話を聞いてくれている。
僕の心臓はドキドキして今にも破裂しそうだ…でも言わなくちゃ…!!!
「ミカ…君が僕の部屋に来てくれて僕の生活は変わった…
僕が目指すべき夢も希望も…望むべき世界も全ては君の存在と一緒にあった。君とずっと一緒にいたい。僕は君を心から愛している…僕と結婚してください…お願いします。」
ミカは笑顔で僕を抱きしめて口づけをした。
「ミカと純くんがずっと一緒にいる事って…もう昔から現在、そして未来までずっと決まってることなんだよ…!!!
だってほら…」
僕達が耳をすますと世界樹から…
レックとヴェラの声が聞こえてくる…
「…ヤット、イッショニナレタワネ…」
「…コレカラハ、ズットイッショニイヨウネ…」
僕はあの時と同じように大きな声で泣いた…
ミカも一緒に泣いている…
僕はポケットから〝REK & BELLA〟と刻印された指輪をだしてミカの指にはめた。そしてミカの涙を指で拭った。
「…ちょっとだけ遅くなったけど、結婚しよう。
そしてこれからもずっと一緒にいようね。」
ミカは笑顔で頷いた。そして僕に飛びついた。
「ミカ…純くん、だーい好き…!!!
ミカを純くんのお嫁さんにしてね…よろしくお願いします。」
…僕の夢が叶った。
僕は世界一の幸せ者だ…!!!
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