2人が本棚に入れています
本棚に追加
/125ページ
最強の護身用武器
ミカちゃんに耳掃除をしてもらっていた僕は…突然、頭の中で自分を呼ぶ声が聞こえて…
ミカちゃんの膝枕からビックリして飛び上がった…
「純さん、純さん…」
「はっ…はい!!!ど、どどどうしました…⁉︎」
ミカちゃんもビクッとして驚いている…
アリスは敵を攻撃しながら純にテレパシーを送っていた…
「実は…敵に見つかってしまいました!!!
兵士の数が多いので…このままでは捕まってしまいます…何か良いお知恵はありませんか…⁉︎」
僕は一瞬どうしようとパニックになったが、とりあえずリュックを背負って…
「ミカちゃん!!!」
「うん!!!」
彼女の左手をギュッと握って手を繋いだ。
「あまり期待は出来ませんが、僕達も闘います…
そちらに呼んでください。」
「分かりました…よろしくお願いします…」
そうは言ったものの…アリスは純や守護神の二人を戦闘に参加させるつもりはなく、戦闘対象が増えて…それに相手が気をとられた隙に全員を安全な場所まで瞬間移動させるつもりであった。
…ブゥゥゥ…ン!!!
僕達の足元に魔法陣が現れた!!!
「そこから…こちらに来れます!!!」
「了解です!!!」
アリスさんの声に反応して魔法陣に飛び込んだ僕達はエルドラ王宮の彼女達の側に瞬間移動した。
「純さん…!!!」
しかし…アリスさんが僕達を気にした一瞬をジークは見逃さなかった。
ジークは呪文を唱えた…
「ムゥゥン…!!!傀儡の術!!!」
「しまった!!!キャァァァァァァ!!!」
アリスさんは突然、身体の自由を奪われてその場に崩れ落ちてしまった!!!
テラちゃんも僕達もアリスさんに駆け寄る。
「こっちに来ないでよ…バカァ!!!アンタなんか大嫌い!!!」
ミカちゃんがカミナリを落とす…
もちろんジークにカミナリは全く効かない。
「つまらぬ抵抗はするな…すぐに四人まとめて仲良くあの世に送ってやるから…」
彼は頭上へと剣を振りかぶった…
僕はまた怒りがこみ上げてきた…!!!
一体何なんだよ…コイツ…
確かに僕はこの世界に来て間も無い。
でも…こんな僕を信頼してくれて…良くしてくれる大切な人達を何だと思ってるんだ。
お前なんかに…お前なんかに…
すると…また僕の右腕に例の紋章が浮かび上がった…
「あ…あれは!!!まさか…
RE:BORNの紋章…すると彼は…転生者なの…⁉︎」
「またお前か…⁉︎今度は逃がさんぞ…」
「何を言ってんだよ!!!
逃げたのはお前じゃないか…」
「クックックッ…
この状況でどうほざいても貴様の負けだ!!!」
「ミカちゃん!!!」
「な、なぁに…⁉︎」
「リュックから護身用の…」
「あっ!!!あれね…!!!」
ミカちゃんは背中のリュックに挿しているグリップを引き抜いた…
「な、なんや…それは…⁉︎」
不思議そうな表情をするテラちゃん…
「これは…最強の護身用武器なんだよ…
名前は…金属バット!!!」
「へぇ…きんぞく…ばっと…⁉︎」
ジークは剣を全力で振り下ろした!!!
真空波が僕に襲いかかる…
僕は金属バットを構える…左足を高くあげてタイミングをとる…そして…
ブウゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!
バットをフルスイングした…
バットは真空波をジャストミートした…
…グシャッ!!!
純が起こした新しい真空の渦に潰され…向きを変えられ…跳ね返された真空波は二倍の速度でジークに襲いかかる。
ザクッッッッッッッ!!!
ギャァァァァァァァァァァ!!!!!
ドッカァァァァァァァァァン!!!!!
ジークの腕をかすめて真空波は王宮の壁を破壊して外に出ていった…
「ク…クッ!!!なんの…これしき!!!俺を怒らせただけに過ぎん!!!」
ジークは第二波を撃つつもりで構える…
「テラ!!!」
「ウ、ウチ……⁉︎」
「僕を目掛けて炎の魔法を撃ってくれ!!!」
「な、何やって…⁉︎何で…」
「頼む!!思いきりだ!!!…早く!!!」
「な、なんか分からんけど…
ウオォォォォォォ…えーい!!!」
テラちゃんは渾身の炎魔法を僕に撃った。
「フン…馬鹿め!!!仲間割れか…⁉︎」
ジークはニヤリと笑った…
僕はもう一度左足を上げて…バットを思いっきり振った!!!
「いっけえぇぇぇぇ!!!」
ジャストミートされた炎はジークを捉えた!
「う…ううわぁぁぁぁ!!!!!」
ジークは五メートル程…後ろに吹っ飛んで…気絶した。
「わ、若様が…!!!」
「若様…大丈夫でございますか…!!!」
兵士がジークの周りを囲むように駆け寄る。
その時…
「おのれ!!!よくも若様を…!!!」
一人の兵士が僕に剣で襲いかかってきた…
ブゥゥゥ…ン!!!
バキィィィィィィィン!!!!!
僕は金属バットを振って兵士の剣を叩き折った…
「一応…これでもリトルリーグじゃ四番だったんだよ…」
「ワ…ワァァァァ!!!」
兵士は全員後退りしながら退却していく…
ジークが気絶した瞬間、アリスさんの術が解けた。
「じ…女王様…ですか…⁉︎…ア、アリスです…」
アリスさんは女王様に連絡して、エルドラ王国に兵を送るように要請した。
ジークを失ったエルドラの兵士は烏合の衆と化した…グランアンジェの女王様が送り込んだ兵士によってエルドラ王宮は完全に制圧された…
兵士の一人が叫んだ…
「王宮の地下室からグランアンジェで行方不明になっていた魔法使いの方々が見つかったそうです!!!」
「ワーッ!!!」
勢いよく歓声が上がった…
最初のコメントを投稿しよう!