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英雄扱い
しかし…僕の願いは叶わず…エルドラ国王は思いの外、体調を崩しており…話など出来る筈もなかった…
ドクターが付きっきりで面会謝絶の状態である…
ジークは父親を幽閉して自分のいいように国を動かしていたのだろうか…⁉︎
程なく…グランアンジェの女王様はエルドラ国民に演説をされた…
「エルドラの皆さん。私はグランアンジェの国王です。
残念ですが、エルドラの国王は今…大変容態が思わしくありません。
そこで同盟国の国王の私がエルドラ国王のお身体が快方に向かうまでの間だけ国の運営を担うことになりました。
困った事がありましたら我がグランアンジェが解決致します。それと、これは侵略や戦争ではありません。皆さん、安心してください。」
流石は女王様だ…
エルドラの首根っこを押さえておいて、国民の感情は逆撫でしない。もし…誰かが反逆の狼煙を上げようものなら逆にそいつが悪者になってしまうということか…
アリスさんは女王様の演説を聞きながら微笑んだ…
「とにかく、我々も一旦グランアンジェ王宮に戻ってゆっくりしましょう。
…そこで紋章についてもお話し致します…」
僕達はアリスさんの瞬間移動でグランアンジェの王宮に戻ってきた…
そこで嬉しい再会が僕達を待っていた。
「あっ!!!あれは…おばさんだ!!!
おーい!!!クレアおばさん!!!」
「ミカ!!!」
「えーん!!!…ぐすっ…会いたかったよー!!!
せっかくまた会えたばかりなのに…」
「ゴメンよ…私が黙って行かなきゃ…アンタまで一緒に連れて行かれると思ってね…
…不安でこの三日ほど生きた心地がしなかったよ…」
エルドラに捕らえられていた魔法使いはどうやら全員解放されたようだった。
「クレアさん。本当に無事で良かったです…」
「ああ…ありがとうよ…あんた達が助けてくれたんだってね…?
おかげで私も鼻が高いよ。ミカとアンタは娘と息子みたいなもんだからね…
あんたら少しゆっくりして女王様とお話するんだろう。私は先に家に帰っておくよ。」
女王様は捕らえられていた全員に慰労金を渡し、
兵士に手厚い対応で家まで送り届けるよう命じた…
そしてその日は僕達もグランアンジェでゆっくり休んで、次の日に女王様と今回の事についてゆっくり話をするらしい。
こちらを出発する時はアリスさんがこっそり僕達のお世話をしてくださって誰にも気付かれないように出発したが、今や、僕達は国難を救った英雄のような待遇だった。
今回の事は勿論、国中に知れ渡ったのか…城下町を散歩すると以前リンゴをくださったあのお母さんが声をかけてくれた…
「あんた達、すごい人だったんだねー!あの時は本当にありがとう。またリンゴ持っていくかい?」
僕は遠慮したがテラは大好物だというので一つだけ有難く頂戴した。
陽も傾いてきたので、王宮の部屋に戻って食事とお風呂をもらうことにした…
「あれ……⁉︎」
その時に僕は偶然ガラステーブルの上にミカのカプセルと一緒に見つけた音叉のような金属の棒に目をやった。「これって何だろう?アリスさんや女王様に聞いてみよう。」僕はそれをポケットに入れてグランアンジェに戻った。
先にお風呂に入ることにした僕に、テラとミカは予想通り一緒に入ると言い出した…
まあ…今回は水着も用意してもらったし、お風呂も貸し切りにしてもらったから…大丈夫…かな…⁉︎
そんな心配をよそにお風呂では二人の守護神が僕の両サイドにピッタリと身を寄せてきた…
「ウフフッ…純くんとまた一緒にお風呂だね…!!!ミカ嬉しいよーっ!!!!」
「ちょっと…ヘナチョコ!!!ウチの純にくっつき過ぎやで!!!
なぁ純…今日も一緒のベッドで寝よなぁ。」
…この状況に少し慣れてきている自分が怖い。
ガラガラガラガラ…
その時、お風呂に入ってくる女性の人影が…
「皆さん…お揃いですね…」
「ア…アリスさん…… ⁉︎」
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