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紋章のチカラ
フワフワと薄いカーテンを持ち上げる涼しい風がベッドの上のアリスの頰を撫でた…
ゆっくりと目を開ける彼女…
「はっ!!!」
…ガバッッッッッッッ!!!
…ズッキーン!!!
「ううっ!!!」
「あっ…気が付きました…⁉︎」
目の前にはいきなりの純のドアップが…
「じゅ…じゅじゅ純さん…
私…お風呂で倒れて…それから…
えっ…」
アリスは自分がバスローブを着ていることに気づいた。
「こ…こここ…これ…純さんが…⁉︎」
純はクスッと笑って…
「いえ……テラとミカが魔法で…」
アリスはホッとした表情で…
「そ、そうですか……
後でお礼を言わなくちゃ…」
「大したことが無くて何よりです…」
「す、すみません…そうだ!!!
転生者のお話の途中でしたよね…」
「はい。でも…具合が悪いのなら…」
「いえ…もう大丈夫です…
純さんの紋章についてもお話しなければいけないですし…」
「紋章…」
「まず一般的な紋章はこの世界では自分が得た上級の能力を使う時、身体の一部にそれが浮かび上がります。
私の場合…まだまだ未熟なのですが、RE:LOADの能力を使う時、紋章が浮かび上がります…
そうすると自分の周りの時間が少し速く進みます。
これを利用して魔法を放って次の魔法を使うまでの時間を短縮することが出来ます。
つまり、魔法の連続使用が出来るということになります。それは紋章の時空を超える力のモーメントを利用しています。
しかし、純さんのRE:BORNの紋章は私の紋章とは似ているようで性質が全く違います…」
「性質…?」
「転生者の紋章には次の転生先に受け継がれるべき能力などが刻まれています…
チカラが紋章に封じ込められてるという事です。
つまり…烙印みたいなものだと言ったほうが分かりやすいでしょうか…RE:BORNの紋章はジークが言った通り、転生者の証なのです…」
「なるほど…じゃあ…僕の前世なんかも分かるんですかね…⁉︎」
「ええ…あの時…私も術にかかっていて正直、目がぼやけてはっきり紋章が見えた訳ではないのです…
もう一度見れば…少しはハッキリすると思います。」
「最後にもう一つ…神族ってどんな存在ですか…⁉︎」
「さあ…どこまで凄いのか…⁉︎
私達の立ち入れるような存在ではありません。
正直、純さんは人間体に転生されています。力も100パーセント出せていないと思われます。それにジーク王子もかなりの使い手です。それを軽々と…金属バットや一本足打法も紋章の力があればこそですよ。」
「そうですか…ありがとうございます。
でも、ジークもこれで大人しくなってくれたら僕のお役はご免ということですよね…
ミカのことがあるからこちらの世界には来るでしょうが…」
「そうですね…落ち着いてくれることを私も願っております。」
アリスはそう言いつつも…
…きっとこの人がこの世界に現れたことには…
何か意味があるはず…
グランアンジェもエルドラもこれからが大変なのに…このまま彼を失ってしまって良いのかしら…⁉︎
自国を想う純粋な気持ちと…僅かに芽生え始めた不思議な感情が彼女にそう思わせている事に自身も気付いていなかった…
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