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晩餐会
僕達が自分の部屋からこの世界にやってきて、今日で三日になる…
明日の早朝に帰れば、風邪も治って登校して来たと
誰も気にする者もいないであろう…
大体、本当の事を話して信じてもらえる訳は無いだろうけど…でも…凄い経験をした三日間だったなぁ…
それにしても……
「わーーい!!!広いよーー!!!」
「ゴロゴロゴロゴロ…なぁ純!!!
これでどんな激しいプレイもオッケーやで!!!」
ベッドの上ではしゃぐ守護神達…
今日、泊まるのは昨日のようにツインルームではなく、キングサイズのベッドの部屋である…
何故、トリプルではなかったのだろうか…?
そう言えばアリスさんにテラとミカがなんか交渉していたような…
突然…アリスさんがテレパシーで頭の中に直接話しかけて来られた。
「純さん…明日の朝、皆様がお帰りだと伺いました。
それをお聞きになられた女王様がこの後、夕食をご一緒されたいということなのですが…よろしいでしょうか?」
こちらがお世話になっているのに断る理由は全く見当たら無い…
「そんな…本当に僕達なんかがご一緒しても宜しいんですか…⁉︎」
「勿論です…
女王様が純さんと是非お話したいと…」
「分かりました…光栄でございます…是非ともよろしくお願い致します…とお伝えください。」
「承知しました。では後でお迎えに上がります…」
「なあなあ…純!!!
女王様が直々にやなんて…
よっぽど気に入られたみたいやで…
どうや…⁉︎
このままグランアンジェのお抱え兵士にしてもろうて…高い給料でウチと幸せに暮らさへんか…⁉︎」
「ちょっと…ちょっと…ミカはどうするんだよ…
純くんの本当の彼女はミカなのに…」
「アンタはこのままグランアンジェでメイドとして働けるように後でウチから女王様に直々に頼んだるさかい心配せんでええよ〜!!!」
「ムッカア〜!!!!!」
…本当にこの二人と協力してジークを退ける事が出来たのだろうか…⁉︎
まさか…夢だったのか…⁉︎
しばらくするとアリスさんが僕達を迎えに来てくださった…
廊下を出て…広間を抜け、僕達は晩餐室に通された。
僕達は案内された席に着くと…女王様が同じテーブルの向こーうの方にいらっしゃるのが見える…
「アリスよ…これでは純達とゆっくり話ができん。
もう少し近くの席に連れてまいれ…」
「かしこまりました…」
女王様のお近くの席に着かせてもらえた僕は改めてハッキリとお顔を拝見させて頂く事が出来た…
…なんて高貴で美しい人なんだろう…
ジッと見つめられたらそのオーラに鳥肌が立ってしまいそうだ…
「皆の者…この度はグランアンジェとエルドラの件、よくぞ頑張ってくれた。
ささやかな宴ではあるがどうぞ心ゆくまで遠慮なくやって欲しい…」
とテーブルに並びきらない程のご馳走を振る舞われた…
「女王様…この度の御厚意、本当に感謝致します…」
「うむ…そなた達を我が国の事情に巻き込んで本当に済まない…さあ…最後の夜を存分に楽しむがよいぞ…」
「……純さん…」
「…は、はい…」
テーブルを挟んだ向こう側に座っているアリスさんからいつもと違い…何か意味深な口調で名前を呼ばれた僕はとっさに返事をした…
「元の世界に戻られても…お元気で…
私…何かこう…ポッカリと穴が空いたみたいで…
お…可笑しいですよね…ウフフフッ…」
女王様は横目で僕達の話を聞いておられた…
「僕も…何だか夢のような…
でも…凄い経験をさせて頂きました…
ここはミカやテラの故郷…ですから…
そして…僕もグランアンジェが…
大好きになりました!!!」
「本当ですか…⁉︎純さん!!!
ホントにグランアンジェが…大好きなのですね…」
少し曇っていたアリスさんの表情が突然明るくなった…
「え…ええ…」
「女王様…
お話だけでもされてみては如何でしょうか…」
「うむ…そうだな……
純よ…わらわの話を聞いてはくれぬか…⁉︎」
僕は首を傾げながら…
「は、はい…何でしょうか…⁉︎」
「実は今夜、そなた達と食事を共にしたのには理由がある…他でもない…エルドラの事だ…」
女王様はティーカップを一口運ばれて、そして話を続けた。
「本日エルドラの大臣と一席設けた。
その際に…わらわは恐ろしい話を耳にした。
ジーク王子のことだが…実はあやつが国中の魔法使い達を一堂に集めていたのには理由があった…
純よ…ソリューを存じてはいるか…⁉︎」
「ソリュー…⁉︎
は、はい…アリスさんから…
神族が住んでいる国の名前ですよね…⁉︎」
「…如何にも…そのソリューからエルドラやグランアンジェに兵を送る計画があるらしいのだ…
理由はまだ分からぬ…
しかし、ジークはそれを懸念して、戦力を整えたかったらしいのだ。
許されることではないが国を思う気持ちは分かる。
そこで…純…頼みがある…
少々時間がかかってもよい。
ソリューのことを調べて欲しいのじゃ…」
「えっ…また…僕達がですか…⁉︎」
「私からもお願いします…純さん…
お力を…あなたのだいすきな…
グランアンジェと女王様にお貸しください…」
頭を下げるアリスさんを見て女王様は少し微笑まれたご様子で…
「…勿論…ただでとは言わん…
そなたにはグランアンジェの騎士の称号とこれを授ける…」
立派な燕尾服のような背広に身を包んだ…食事の給仕をしていた初老の男性が僕の横に来て…
「失礼致します…」
虹色に輝く勲章と皮袋のような物が乗ったトレイを僕の前に差し出した…
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