長考

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長考

「ちょっと…すんまへん!!!」 …ヒョイ!!! 僕の右隣からヒョッコリと顔を出したテラが皮袋を手に取ると…中身を調べ出す… …ズシッ!!! 「な、何や…この重さ…一体…何が… ………ひゃあつっっっ!!!!! ……こ、腰が抜けたわ……!!!!!」 「テ、テラ…ダメだよ…勝手に… い、一体どうしたの……あっ!!!!!」 僕も一瞬、テラと同じような声が出そうになった… チラリと見えたテラの手元の皮袋には…沢山の…キラキラと光る金貨が入っていた… 「こ、こんなに… 純!!!アンタ… これはお抱え兵士どころやないで… 大きな家…いや…城が買える程… し、しかも…騎士(ナイト)やなんて… 玉の輿…逃したと思ったけど… や、やったで!!!ウチはやったんや!!! バンザーイ!!!」 …僕の左側では…ミカが勲章を手に取り… 片目を閉じて…光に透かすように見上げている… 「これ…すっごくキラキラしててキレイだね… 純くんがこれを着けて… グランアンジェの騎士になるんだね… あーん!!!カッコイイよ… でも…プライベートではミカだけの騎士で… い・て・ね……キャーッ!!!!!」 ちょっと…ミカまで…もうダメだってば… 「もし報酬が足りなければ申すがよい… 望むだけ出そう…」 「の…望むだけ…!!! う、うーーーん…」 …バタッ!!!!! テラは気を失ってその場に倒れ込んでしまった… 「どうじゃ…純…返事を聞かせてはくれぬか…⁉︎」 その場にいる全員が純の表情を見つめていた… 「………少し…考えさせて貰えませんか…?」 女王様の前でアリスは深いため息を吐く… 「ああ…結局…ダメなのでしょうか……⁉︎ しかしソリュー…神族相手に… 彼の力抜きでは…とても…」 「アリスよ…やけに入れ込んでおるな… あんな風に振る舞うそなたは初めてじゃぞ…」 「お…お(たわむ)れを… わ、私は…誇り高きグランアンジェの魔法使いとして常に女王様と国のためを…」 「ああ…もうよい!!!分かった… しかし…あやつの正体は一体何なのじゃろうな… わらわや…そなたに手に負えない悪神なら… 如何(いかが)いたすのじゃ…」 「女王様…私は彼の目…立居振る舞いや言動から 絶対にそのような者ではないと断言できます!!! きっと彼は…この世界を救ってくださると…」 「ふむ…そうじゃな…よし… わらわもそなたの言う事に乗ることにするわ… 後はあやつが決める事じゃからな…」
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