付き合ってもらえますか?

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付き合ってもらえますか?

な、何だったんだろう…今のは… しばらくすると大木の映像はもう見えなくなり、 僕の涙も自然と治まった… 「純くん……⁉︎」 心配そうにミカちゃんが僕を見つめている… 彼女を不安にさせてしまったかな…⁉︎ 僕は彼女の側へ笑顔で歩み寄ろうとした… その時… 「あれ…これは…⁉︎」 僕はミカちゃんの近くにある黒いカプセルに気付いて…それを両手で一つずつ持ち上げた。 おおっ!!!意外と重くてビックリした!!! もう一つビックリしたのは両方のカプセルから怪しげな緑色の光が出ている。 「何の光だろう…これ…⁉︎」 僕が覗こうとした次の瞬間… 「あーっ!!!!!」 その緑色の光に導かれるように…僕はミカちゃんとともにカプセルの中にに吸い込まれていった… 景色が暗転してミカちゃんと一緒にたどり着いたのは何処かの建物の一室だった。 木造の小屋…物置だろうか…? なんか薄暗くて殺風景な部屋だ。 周りを見渡すと…部屋のドアから少しだけ光が漏れていた… すると突然、ミカちゃんはそのドアを開けて中へと入って行った… 「あっ…ミカちゃ…」 「ただいま!!!」 …バタン… 「た…ただいま…⁉︎」 どういう事だろう… ここはミカちゃんの家なのだろうか…⁉︎ 僕はゆっくりとドアの方へ近づいた。 そして…閉まったドアをゆっくりと開けて…スキマから中の様子を伺う。 するとマントかローブのような服を着た年配の女性が本を見ながら何か食べるものを作っているのが見えた… そして…すぐ横にミカちゃんの姿も!!! ひょっとしてミカちゃんのお母さん…⁉︎ 「ミ、ミカ!!!ミカじゃないか…!!! アンタ…長い間、一体何処へ言ってたんだい…⁉︎ずっと心配してたんだからね…」 「…ゴメンなさい…」 どうやらここはそんなに危険な場所では無さそうだ… 僕は勇気を振り絞ってドアを開けた。 「こんにちは…」 年配の女性は僕の姿を見て… 「おや…誰だい…⁉︎ 見ない顔だね…ミカの友達かい…⁉︎」 「純くん…!!!」 ミカちゃんは嬉しそうに僕の名前を呼んで駆け寄ろうとしたのだが… …ガクン… 突然…彼女は、まるでマネキン人形のように宙を見つめたまま動かなくなってしまった… 「ミ、ミカちゃん…!!!」 彼女を心配している僕をよそに 「ああ、再起動したほうが良いね。」 と年配の女性はそう言ってミカちゃんが持っていた黒いカプセルを手に取った。 カプセルを良く見ると魔法陣が上下に一つずつ描いてある。 「これだね…」 彼女がカプセルを開けて、上の魔法陣を長押しすると…ミカちゃんはその場に崩れ落ちるように座りこむ。 「ミ、ミカちゃん?」 女性は「あれ…あんた…ひょっとしてミカの旦那かい?」と言った。 …旦那?旦那だって…⁉︎ ぼ、僕と彼女が結婚してるのかってこと…? 「と、とんでもない… それよりも伺いたいことがあります… 一体ここは何処なんですか…⁉︎」 僕は思い切って大真面目に女性に訊いてみた… のだが、女性は面食らったような表情を見せたかと思うと、少し怒ったような口調で… 「何言ってんだい。グランアンジェだろ? まさか、あんたエルドラの人かい?そういえば黒い髪だし。私は争いごとはゴメンだよ…いくらミカの友達でもね…さあ帰っておくれ。」 すいません。正直、一瞬思ってしまいました。 「はぁ?おばさん、何言ってんの?」と… そんな話をしていると気を失っていたミカちゃんが立ち上がって、こっちを見た。 「あっ!!!純くん… 紹介が遅くなってゴメンね… こちら…クレアおばさん。 ミカの育ての親なの…」 「育ての親…」 「ミカ…この人は…⁉︎」 「純くんだよ…ミカに優しくしてくれたの…」 「そうかい…あたしゃ…てっきりこの国を狙っている一味なんじゃないのかと疑ったりして… 本当にゴメンよ… で…ミカ。この人と契約するのかい…⁉︎」 「うん。ミカ、純くんのこと大好きになっちゃって…あらためまして、純くん。」 僕は名前を呼ばれてとっさに返事した。 「け、契約って…?どういうこと…⁉︎」 「さっき…純くん… ミカの事大好きだって言ったよね…」 「う、うん…」 「じゃあ…ミカと付き合ってもらえますか?」
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