決意

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決意

「ア…ア…アホかーーーーい…!!!!!」 ビリビリビリビリビリビリ…!!!!! テラの大きな声に王宮の僕達のいる部屋が揺れる… 思わずミカと僕は耳を塞いだ… 「なぁ……純!!!! よう考えてみてぇなぁ……!!!!! 金貨やで…騎士やで… 大きなお屋敷を建てて… 使用人やメイドをズラリと並べて… 「旦那様…行ってらっしゃいませ…」 「あら…あなた…もう出かけはるんですか…⁉︎ そやったら忘れてはりますよ… 何って…嫌やわぁ… 行ってきますのチュウ!!! チュウ!!!チュウ!!!チュウ!!!」 …テラ… そろそろ現実へと帰ってきてくれないかな…⁉︎ 「純くん…ひょっとして…騎士とか…嫌なの…⁉︎」 ミカは心配そうに僕の顔を覗き込む… 「いや…そういう訳じゃ無いんだけど… 僕はただの学生だった… ミカという大事な彼女が出来て… 喜んでいたのも束の間… 異世界へ来てクレアさんを探しているとテラやアリスさん…そして女王様に巡り合って… ジークと闘って…クレアさんを取り戻して… 今度はソリューへ…だなんて… それに…学校はどうするんだよ…⁉︎」 「学校……もう…そんなんええやん!!!!! ウチ…火の魔法を覚えて… 後はハッキリ言ってしょーもないって思ったから… 魔法学校なんかアホらしゅーなったさかい… 中退したったわ!!!!! 変化の魔法なんかは旅してる時に出会った…昔、王宮に仕えてた魔法使いのジジイに教えてもろたし… 学校なんて行かんでも…ウチみたいにこうして立派にやってる(もん)もいるんやで…」 「立派にねぇ… まあ…テラの事はちょっと置いておいて、僕が学校に行かなきゃいけないのは僕自身が今、もっと見聞を広めておかないと…今後、僕が経験していく事に大きく影響するような気がするんだ…!!! 分かりやすく言うと…例えば、同じ花を見たとしてもその花の生態や生息地なんかを知ってるだけでもどうしてここに咲いているのか…その背景なんかも分かってくる…つまり同じ物を見ていても見方が変わってくるんだよ…」 「うう… そんな難しいこと…ウチには分からへん…」 「ミ、ミカも…ちょっと…分からない…かな…」 「そっか…」 ベッドに寝そべりなからずっと黙って考えている… そんな純を見てミカとテラはお互いの浮かない顔同士を見合わせた… そして…やがて…テラは意を決したように口を真一文字に結んで純の元へ来た… 「純…ゴメン!!! ウチ… アンタの優しくて思い遣りがある所が好きで…ジークに愛想を尽かしてアンタの所へ来たんや… そやからアンタが女王様の申し出を受け入れられへんのやったらそれでもええ… ウチは惚れた男にやりたい事もさしてあげられへん女になんかなりとうないんや!!! そやから…アンタは思うたまま黙って突き進んだらええ… ウチはどんな事があっても離れんと付いていくさかいな!!!」 「テラ…」  「…………」 その様子を黙って見守っているミカは… 胸の前で組んだ指を…目を閉じてギュッと握りしめた…
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