女神

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女神

「ご…ごめんなさい…ごめんなさい…!!!」 「ア、アリスさん…!!!」 純と同じ様に涙を流しながら…彼の身体をギュッと力一杯抱きしめていたのは…他でもない…アリスだった。 「私が…私が…女王様にお願いしたんです… 今度の任務は絶対に純さん達のお力が必要不可欠ですって… でも…自分勝手な思いで純さんを傷つけてしまった… 全て私の責任です… だから…だから…もう…私やグランアンジェの事は気にしないで… 純さんは幸せに…なってください…!!!」 アリスはそう言うと涙を堪えきれずに部屋を飛び出して行った… 「やれやれ…」 女王様はアリスが出て行ったドアの方をしばらく見つめた後、ご自身の机の方に向かわれ…椅子にかけられた。 「純よ…あれは少し堅物でな… 思い詰めるふしがあるのじゃ… 許してやってくれ…」 「いえ…アリスさんはとても頑張り屋で… 自分の想いにひたむきで、そして優しい女性だと… 僕は出会ったばかりですが… とても尊敬しています。 僕こそ…彼女の期待に応えられずに申し訳ない気持ちで一杯です…」 俯いている純を見つめる女王様…   「ふむ……純よ… そなたは今は学生で…学業を優先する為に時間が無いと申したな…?」    「は…はい…!!!」 「では…聞くが… もしも…そなたに自由な時間があればわらわに協力してくれると申すか…⁉︎ どうじゃ…⁉︎」 「えっ…⁉︎」    …自由な時間…⁉︎ 一体…どういう事なのだろう…⁉︎ 「そ、それは…学校もキチンと行けて、グランアンジェに協力できるなら…それが一番理想的ではありますけど…」 「そうか…あい分かった!!! 済まぬが純よ…こちらへ来て、わらわの背後(うしろ)に回ってはくれぬか…?」 僕は訳がわからないまま…女王様の机の後ろ側へと歩み寄った そして言われるままに女王様の背後(うしろ)に立った… …うわぁ… 鼻腔をくすぐるどころではない… この芳醇な花の香り… し、失礼だけど… 綺麗とか美しいとかいうレベルでは無く… 生きる芸術品のような… め、女神って… こういう方のような事を言うんだろうな… 「ここで…よろしいですか……⁉︎」 「ああ…構わぬ…少し待っておれ…」 女王様は(おもむろ)に右手を後ろに回されて長くて美しい髪を細い指でかき上げられた… (あらわ)になった… 透き通るような白いうなじ… 「じょ…女王様…何を………あっ⁉︎」 僕は驚いて…息を飲んだ。 女王様の左の肩口には… 虹色に輝く小さな紋章があった… そして…女王様の次のお言葉に… 僕は更に耳を疑う程に驚く事となる… 「わらわに…触れてみよ…」
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