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分けてもらった能力《ちから》
「ええっ…!!!!!」
女王様の言葉に僕は驚き、ミカは不思議そうな目で女王様を見つめ…そしてテラは…
「な、何やねん…コイツら…!!!
姉ちゃんはハグして…どっかに消えてまうし…
女王様はボディタッチしろやなんて…
堂々とウチの純を誘惑せんといて欲しいわ…」
凄い形相で女王様を睨みつけていた…
「ど、どういう事ですか……女王様…⁉︎
僕には…そ、そんな事……」
「…構わぬ…
このアンジェ・マリア・オルタリアの肌に触れる事を許す…
純よ…紋章に触れるのじゃ…」
「も、紋章に……⁉︎」
僕の腕に現れた紋章より一回り小さい位だけど…
ずっと見ていると吸い込まれそうになってしまう…
手の震えをなかなか抑えられない僕は…
それでも…触れてはならないものに勇気を出して恐る恐る手を伸ばす…
カアァァァァァァァァ!!!
指先が触れたか触れなかったか分からない位の感覚で紋章がさら激しく光り出し…僕達はその光に包まれていく…
「う…うわぁぁぁぁ!!!!!」
やがて光が収まって…僕達はまるで夢から醒めたようにぼうっとその場に立ち尽くしていた…
女王様は目を閉じながらお召し物を直されて、僕を真っ直ぐに見つめられて…こう仰った。
「純よ…
そなたに私の能力を少し分け与えた…
そなたならこの能力を正しく使ってくれると信じておる…」
「ち…能力…それはどんな…」
「念じるのじゃ…純よ…
そなたがグランアンジェに来る前…
異世界での…あの日を…
「僕がグランアンジェに…
三日前の金曜日の朝…
ミカが突然泣きながら部屋にやってきた翌朝…」
「そうじゃ…そして…
カプセルを使って異世界へ戻ってみよ…」
「ミカ…カプセルを…!!!」
「う…うん!!!」
…パカッ!!!
僕とミカとテラは緑色の光に包まれる…
「…こ、ここは…」
キョロキョロと辺りを見回すテラに…
「…ようこそ…ここが…僕の部屋だよ…」
「ここが…純の部屋…」
……!!!
「そ、そうだ…!!!」
僕はポケットからスマホを取り出した…
「今日は…金曜日の朝…!!!
間違いない…!!!
僕はまだ…一日も学校を休んでいない!!!」
「ミカ…グランアンジェの…女王様のさっきの部屋へ…」
「う…うん。イメージすれば多分行けるよ…」
「お願い!!!」
…パカッ!!!
「女王様……
本当に…本当にありがとうございました!!!」
「……おお…上手くいったようじゃな…
…では…純よ…」
「はい!!!明日の朝また王宮に参ります…
どうかよろしくお願い致します…」
「うむ…頼んだぞ…アリスにも伝えておくぞ…
きっと大喜びじゃ…」
…こうして僕は何か胸の支えが降りたような気持ちで人間界の自分の部屋に帰る事にした…
浮かない顔をしているミカの様子にも気づかずに…
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