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恋とは
「フン…フン…フフン…」
王宮魔法軍の控室…レリーフが美しい大きな姿見に向かって鼻唄混じりに前髪を気にしているアリス…
「アリス隊長…!!!」
彼女の元に男女二人の魔法使いが駆け寄って来た…
「隊長…もうすぐこちらに来られるのですか…⁉︎
その…グランアンジェの新しい騎士になられたお方は…⁉︎」
「ああ…そうだ…
ラビも…レオも…粗相の無いようにな…
しかし…あの方は周りの人達に感謝こそすれ…
文句など付けるような方では無いがな…」
「あの…あの…」
王宮魔法軍のエリート…アリスの直属の部下…
双子の魔法使いでレオの妹…可愛いツインテールのラビはアリスの前でもじもじと何かを言いたそうにしている…
「どうしたのだ…ラビ…
言いたい事があるなら遠慮なく言ってみよ…
お前はレオだけでなくて…
私も妹のように思っている…
困った事があるなら…何でも…」
「アリス様…アリス様は…」
「…うん…⁉︎」
「新しい騎士様を心からお慕いしておられる…
という話は本当なのですか……⁉︎」
「ブーッ!!!ゴホゴホゴホッ…!!!」
思わず吹き出して…顔を真っ赤にするアリス…
「だ、誰が…そのような根も葉もない噂を…
私の魔法でチリと化してくれようか……」
「アリス様……恐れながら…
それはお止めになったほうがよろしいかと…」
「ええい…止めるな…レオ…
一体誰なのだ…そのような不貞の輩は…」
「おお…確かに言ったぞ…
ラビとレオが…
最近のそなたと言えば、鏡を見て笑ったり…
遠くを眺めたりして…おかしいと言うから…」
「じょ…女王様ぁ…!!!」
「まあ…良いでは無いか…
以前のそなたと言えば…クールに魔法の修行に打ち込むばかりで…あまり誰とも打ち解けなかったであろう…⁉︎」
「そ、それは…隊長として…
皆を引っ張っていくべき者として…」
「それ位の人間味があった方が…
皆からも慕われるのでは無いのか…⁉︎」
「し、しかし…やはり私は誇り高きグランアンジェ魔法軍の隊長としては…」
その時…一人の衛兵が…
「女王様!!!失礼致します!!!」
「何事じゃ…⁉︎」
「はっ…!!!
純…と名乗る者が女王様とアリス隊長にお目通りをと申しておりますが…!!!」
「そうか…あいわかっ…」
「なんだと!!!それで…純さんは丁重にお通ししたのか…⁉︎」
「い…いえ⁉︎
何者かも分からない者をそのような…」
「馬鹿者!!!
すぐに丁重に貴賓室にお通ししろ!!!
でなければ…
お前は私が全力でお前を王宮から追放するぞ…!!!」
…ギラァァァァ!!!
するどい眼光が矢のように兵士に襲いかかる…
「す、すいません…!!!直ちに…!!!」
衛兵は瞬間移動をすることも忘れて…
足をもつれさせながら…
全力で通用門へ向かって走って行った…
アリスは女王様の方に向き直って…
「では…私は貴賓室へ向かいます…後程…
彼らと女王様のお部屋に伺わせて頂きますわ…ウフフッ…」
キラキラと輝く女の子の瞳で部屋を出ていくアリスを見た女王様は…
「恋とはかくも恐ろしいものよのう…」
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