作戦会議

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「あっ…」 アリスの姿を見て純はソファーから立ち上がった。 「こんにちは…ご連絡ありがとうございます…」 「おおきに!!! ウチの純の騎士としての初仕事やっていうから… どんなんかウチも見に来たわ…」 「すみません…こちらからお呼びたてしながら… お待たせしてしまって…」 「そうだ!!!…アリスさん… この間はすみませんでした…改めまして… 僕にお力添えをさせて頂けるのでしたら… ご遠慮無くお申し付け下さい…」 急にこの間の事を思い出したアリスは赤面しながら…少しだけ焦った口調で… 「いえ…私のほうこそ…あんな風に部屋を飛び出してしまって…反省しています… と、ところで…今日はお二人なんですか…⁉︎」 「ああ…ミカはおばさんがいる実家に帰ってるんですよ…」 「なるほど…じゃあ… お二人を女王様の前にお連れ致しますね…」 「おお…純か…よく来たな… アリスから事情は聞いていると思うが… その前に…」 机の上に並べられたこの間の皮袋と勲章を女王様は手に取って… 「改めて…純… 正式にグランアンジェの人間として働いて貰うぞ… 良いな…⁉︎」 「はい!!!女王様のため、グランアンジェの平和のために頑張ります!!!」 「よろしく頼むぞ…」 そう言って女王様は純に二つの褒美を渡した。 「あ、ありがとうございます…僕に身分不相応な報酬…本当に頂いてよろしいのですね…⁉︎」 「うむ…自由に使うが良いぞ… …すまぬが…わらわはこれから所用があるのじゃ… アリスから今回の任務の話を聞いておいて欲しい。 純…頼んだぞ…」 「…はい!!!」 女王様は指をパチンとならしてその場から立ち去られてしまった。 …純は勲章を大事そうにポケットにしまい…アリスの方に向き直って… 「アリスさん…この金貨を預かって頂けますか…⁉︎ そして…後で個人的にご相談させて頂きたいことが…」 「えっ…⁉︎」 「えっ…⁉︎」 テラとアリスは純の言葉に驚いた。 「…なんや…純…財テクの事やったらウチに預けてくれたらええのに… 屋敷やら家財道具を買うんやったらウチ…値切るの得意やのに… まあ…あの姉ちゃんの方が顔は広そうやからな… それにあの金貨は純が貰ったもんやし… こういう時は… 良妻は黙って夫に従うもんやな!!!」 「純さん…金貨の事で私に相談…⁉︎ まさか…まさか… 『アリスさん…これで婚礼の準備をして貰えませんか…⁉︎ 僕はこちらの世界について… 右も左も分からないので…』 『こ、婚礼…⁉︎ どちらかの守護神の方と結婚式を…?』 『はは…嫌だなあ…(とぼ)けちゃって… あなたですよ…あ・な・た!!!』 『えっ…わ、私…⁉︎ だって…まだお付き合いもしてないのに…』 「あの…アリスさん…⁉︎」 「やっぱり…こういう事は手順というか… 私、プロセスが大事だと…」 「あの…そろそろ…任務の話を…」 「あっ!!!もう…嫌だ…私ったら!!! ウフフフフ… では…早速…お話させて頂きたいのですがよろしいでしょうか…⁉︎」 「は、はい!!!」 キリッとした顔つきに変わったアリスに向かって純は黙って大きく頷いた… 「あれから…我々はソリューの動きを探るために旅人と称した諜報部員を何度か送り込んだのですが… …残念ながら帰って来た者は無に等しいです。」 「ソリュー…いくら相手が神族でも、こちらの人間が行方不明になってるからと言って調べさせてはもらえないのでしょうか…⁉︎」 「そこは向こうも抜かりないでしょう…? 知らぬ存ぜぬの一点張りで通して…もしも疑いをかけようものなら強気の態度に出てくると思いますね…」 「なるほど…これは厄介ですね… ジークが戦力を集めて向こうの出方を待っていたのも頷けます…」 「以前は…ソリューとも国交が盛んで…誰もがお互いを行き来できたのですが… 先日、現在のソリューの国王が就任した途端に… 他の国と国交断絶を表明したのです…」 「…確かに何かを企んでいる香りはプンプンしてきますね…」 「こうなったらもう奥の手を出すしか無いかも知れません…」 「…奥の手…⁉︎」 「…一つだけあるのです… ソリューに怪しまれずに堂々とグランアンジェの者として入れる方法が…」 「…い、一体…何なのですか…その方法とは…⁉︎」 アリスは一度、大きなため息を吐いた… 「武闘大会です!!!」
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