優しい気持ち

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優しい気持ち

「じゃあ…ソリュー潜入の任務に関する報告会議を始めます… すみません…その前に…テラさん…そろそろ…」 「アハハハハ…」テラは僕の身体を抱きしめて離さない… 「もう〜!!!まだ純くんにピッタリくっついているの…お仕事だよ…離れなきゃダメだよ…」 「アンタら…オンナやったら今のウチの気持ち分かるやろ…申し訳ないけど…今は黙って見逃してぇなぁ…」 …仕方ないなぁ…純くん…本当に優しくて素敵な人だもんね… …ま…まあ…仕方ないですね…私だってあんな事されたら… 「コホン…では…作戦会議を始めますが… ソリュー王国に潜入するには武闘大会に観覧もしくは参加が必須になってきます… ただ…私達の目的はただ一つ…国王…もしくは周辺の者と親密な関係になり、侵攻の是非や目的を知ることです。出場して優勝すれば間違いなく国王に近づけますが…それ以外なら即グランアンジェに帰って作戦の練り直しになります…」 「なるほど…」 「しかし申し上げたように問題が一つあります。 私達の中の誰がこの大会に出場するかということです。 …事実をハッキリ言います。現状、グランアンジェには優勝経験者は無く…では…私達の中からとなると… 失礼ながら守護神のお二方は魔法は使えても個人で出場して勝ち進むのは無理… 私は紋章の力を使っても上位のレベルかどうかというと疑問が残ります。」 「そんなにレベルが高いんですか…?」 「世界全土からですからね…そして…とりわけ神族は転生して神の力を強くしていく…他の種族とは次元が違います。歴代の優勝者も彼らが圧倒的に多く、神族の力を誇示するイベントじゃないのか…?と嫉妬混じりに言われています… じゃあ…残るは紋章の力を使った純さんですが…純さん、一度私と手合わせして頂けませんか?」 「えっ…アリスさんと…そんな…無理ですよ!!!」 「何故ですか…?私をジークだと思って真剣に勝負してみてください…」 「アリスさんを…思えませんよ。アリスさんは僕にとって大切な仲間のお一人です。攻撃だなんて…」 「そこなんですよ…」 「えっ…⁉︎」 「純さんはとても優しい方ですから…テラさんをご覧になってみてください…あなたの優しさに触れると女性ならみんな…」 「いやあ…あはははは…」 「純さんを前にして失礼を承知で生意気な事を言わせて頂きます… そのお優しい気持ちが戦闘では命取りなのです… 純さんの紋章は怒りの心に呼応します…今まではジークから私達を守ってくださるために自然と怒りの感情が出ましたが… 果たしてこんなに優しい純さんが、武闘大会で非の無い…何もしていない相手に怒りの感情をもって紋章の力を出せるでしょうか?」 「それは…」 「そうだね…純くん…何もしてない人にそんな事出来る人じゃないよ…」 「うーん!!!確かに姉ちゃんの言う通りやで…」 アリスさんの言われる事は僕自身が一番分かっていた…確かに僕は守るべきものが無いと怒りの感情は出ないであろう… 「じゃあ…他の手を考えますか…⁉︎」 「いえ…私に考えがあります… 少しこのままでお待ち頂けますか…⁉︎」 そう言うとアリスはドアを開けて部屋を後にした。 長いようで短い時間が過ぎ、アリスが部屋に戻ってくる。 「連絡がつきました。オーケアノス王国のクーファという方を尋ねましょう。」 「クーファさん…一体どなたなのですか…その方は…?」 「はい…女王様とも親交のある有名な武術の達人です…そして…オーケアノス王国の国王です!!!」
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