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オーケアノス
オーケアノスは海の潮の香りと柑橘系の果物の香りがする恵みの大地であり、そして各国から人が集まるリゾート地としても有名な国である…
僕達は女王様から紹介状を頂戴して、オーケアノスの王宮に向かうこととなった…
瞬間移動でオーケアノスの小高い丘の上に飛んだ僕達は見下ろした海の側に立派な王宮があるのを見つけた…
アリスさんが指差した先をみんなが見つめる…
「あれがオーケアノス王宮ですね…」
「下り道なんで歩いて行きませんか…⁉︎」
「うん…この風…気持ちええしな…」
「ホントだね…」
王宮に向かう一本道を歩いていると…途中に小さな森とその横に少し古ぼけてはいるけれど…立派なお城みたいな建物も見えてきた…
二…三十分くらい歩いただろうか…
僕達はようやく王宮の城門の前までやって来た…
アリスさんが城門の扉の前で叫ぶ…
「頼もう!!!我々はグランアンジェ共和国…アンジェ・マリア・オルタリア女王様の紹介でオーケアノス王国…クーファ国王に御目通りを所望する次第である…お取り次ぎをお願いしたい!!!」
アリスさんの声に反応したかのように城門の扉が開き…二人の衛兵が飛び出して来た…
兵士はまるで艶のある硬い鱗のような鎧で身を固めている…
「確かに紹介状であるな…
すぐに我が国の大臣が謁見させて頂く…
少々お待ちくだされ…」
そう言って衛兵の一人は瞬間移動で王宮の中へ入っていったようだった…
そしてすぐ案内の者が僕達の元へとやってきて…
紹介状を介して僕達はオーケアノス王国の大臣に謁見させて頂いた…
「グランアンジェの皆様…ようこそ我が国へ!!!
本来なら国王の御前に迎えるのだが…現在…国王はご自分の邸宅にお帰りになられている…
よろしければ訪ねてみるがよろしい。」
「えっ…国王の邸宅って…⁉︎
王宮とは別に国王様が何処に住んでいるか…みんなご存知なんですか…⁉︎」
僕は呆気に取られた…
「なあなあ…純⁉︎
何で国王の家が分かったらアカンの…⁉︎
フレンドリーな…ええ国王さんやんか…!!!」
「テラ…国王陛下の居場所が分かったら…
賊にも狙われやすくなっちゃうよ…」
「あ…なるほどな…そう言われればそうやな…」
その時…
「プッ…アハハハハ…」
「ハーッハッハッハッ…」
アリスさんと大臣が同時に吹き出すように笑った…
「な、何がおかしいんですか…⁉︎」
…キョトンとしている僕達に対して…
「純さん…一度お会いになられたらすぐに分かりますよ…」
「国王を賊が襲ったら…襲った賊の方が気の毒であるな…」
クーファ国王…一体、どんな方なんだろう。
僕はますます興味が湧いてきた…
「大臣!!!国王様の邸宅を教えて頂けますか…⁉︎」
「…皆様…こちらに来られる途中にご覧になったのではないかな…⁉︎」
大臣が指差したのは僕達がさっき見ていた古ぼけたお城のような建物だった…
「あちらである…気をつけて行かれよ…」
僕達は王宮を後にして…クーファ国王の古城のような邸宅へと向かったのだが…
運命的な出会いをこの時は全く感じていなかったのだった…
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