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国王と姫様
古城に辿り着いた僕達は少し開いたアイアンの格子状の門をくぐり抜けた先にある大きなドアをノックした…
「すみません!!!誰がおられませんか…!!!」
しかし返事はなく…
「困ったな…」
「何処かへお出かけになったのでしょうか…
あら…⁉︎」
アリスさんがドアを何気に引くと錠は掛かっておらず開いていた…
中を覗くと暗闇が広がっていたが…目が慣れてくるとかなりの広さがあるフロア…左右に二階へと続く階段…花が活けられた大きな花瓶…今にも動き出しそうな鎧が飾られており…
僕のイメージ通りの…『ザ・洋館』の造りである…
「ウ…ウチ…こういう…出そうなトコ苦手やねん…!!!」
「純くん…ミカも怖いよ…」
「大丈夫だよ…
でも…誰も居なければ出直すしかないね…」
「すみません!!!…誰かおられませんか…⁉︎」
アリスさんの声が広いフロアに響きわたる…
すると…二階の渡り廊下の手摺りに小さな火のような灯りがゆらゆらと揺れている…
灯りは僕達の向かって右側の階段の方へと進み…螺旋階段に差し掛かったその時…
バァァァァァァン!!!
灯りの後ろに大きな人影が見えた…
「ヒィィィィィ!!!で、出たぁぁぁぁ!!!」
テラが僕の背後に隠れる…
ミカもギュッと僕の腕に抱きついて離れない…
僕とアリスさんが身構えたその時…
「…何かご用でしょうか……⁉︎」
ボソリと呟くような…
とても哀しげな声が聞こえた。
その声の主が僕達に近づいてくるにつれて意外な姿が明らかになった…
それは巻き髪のとても綺麗な女の子だった…
ゴシックロリータのような服に頭に羽根飾りをつけている。
「あなた…リンちゃん…⁉︎」
「…あなたはグランアンジェの…」
アリスさん…彼女と顔見知りのようだけど…
「父に御用ですか…⁉︎
父はすぐ近くの森に出かけています。
どうぞ…中でお待ち下さい…」
彼女はアリスさんの顔を知っているにも関わらず、
何故かぶっきらぼうに僕らにそう告げて…客間へ案内してお茶を出してくれたが…それっきり姿を消してしまった。
それにしても彼女は父と…
国王の娘…つまりオーケアノスの姫様…⁉︎
とりあえず僕達は彼女が用意してくれたお茶を頂きながらクーファ国王を待つことにした。
窓から海の景色を見ながら飲むお茶も…悪くない。
「よう!!!スマンスマン…ちょっと訳ありで遅れちまった…」
野太い声が聞こえた…
どうやら国王が帰ってこられたようである。
ヒゲを蓄えた屈強な海の男という感じだろうか。
「よう!!!アリスちゃん…久しぶり…
女王様は元気かい…⁉︎」
「お久しぶりでございます。
女王様からクーファ様によろしくと言付かっております…」
「アリスちゃん…ちょっと見ない内に綺麗になったね…
どうだい…これから海でも見に…」
「国王様…!!!」
「ああ…紹介状にあったのはその兄ちゃんだな…
まずはどんな感じか見せてもらおうか。
兄ちゃんさ…何処からでもいいから…
ちょっとかかってきてみな!!!」
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