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強くなりたい
ソリューの武闘大会まであと約三カ月位後らしい…
僕はクーファ先生から強さの根源とは信念だと教わった。
自分が何の為にどう行動し、何が正しくて何が間違いであるか、そしてそれを受け入れて、どういった成長をするか…
自分自身が信じて行う事が強さに関わると言われて、そしてそれについて考えるようになってから僕の修業の質が変わってきたようだ。
学校では学べない、人生全てに通じることを修業で教わったような気がする…
だけどクーファ先生から…学校で仲間達と一緒に学ぶ事も大事であると言われて僕の修業は週末と…もうすぐ始まる夏休みを利用して行う事になった。
ある日…僕のところにアリスさんがミカとテラを連れて遊びに来てくださった…
「たまには息抜きも必要だと思いまして…
お邪魔でしたか…⁉︎」
「いえ…そんな…」
「純…どうや…⁉︎元気にしてるか…?
ウチは…ちょっと寂しいけど…アンタの帰りを我慢して待ってるしな…うううう…」
目頭をハンカチで押さえるテラに…
「純くん…疲れが溜まってるんじゃ無い…⁉︎
ミカがマッサージしてあげるよ…
ミカ…こう見えても上手いんだよ…」
「あっ…抜けがけはズルいで…ウチも…」
「や…やめて…くすぐったいよ…うん…⁉︎」
草むらに転がって笑っている僕の側に立っていたのは…
「…これ…お昼ご飯です…父から皆様の分も運ぶように言われてますので…
どうぞ…皆様でお召し上がり下さい…」
「うわぁ〜おおきに…!!!
丁度お腹が空いて来とったんや…
サンキューな…」
リンちゃんは僕の修行の時にはいつもこうして食事を運んでくれる…
「純…あのお人形さんみたいな子…愛想は無いけど…こうやって食事も作ってくれて…優しいええ子やん…
むしろ…ああ言う人畜無害のような子のほうが純に悪い虫がつかへんからウチも安心やわ…」
……本当にそうだろうか…⁉︎
僕は彼女から今まで他人から受けた事の無い位の嫌悪感を感じている…
必要な会話以外はせず…当然目も合わせない…
宙を見つめるその視線から…
言葉にこそ出さないが「早くグランアンジェに帰って欲しい」と言われているかのようである。
しかし…だからと言って僕が彼女にどうこう言える立場でも無い…
全ては僕の弱さが招いたことなのだ…!!!
強くなりたい…!!!
強くなりたい…!!!
強くなりたい…!!!
強くなって…大切な守るべき者を絶対に守れるようになりたい…
純は目を閉じて心に強く願った。
「クーファ国王様…少しお聞きしたい事が…」
「おっ…何だい…⁉︎アリスちゃん…
あっ…ひょっとしてこの間の誘いを…」
「すみません…茶化さないで頂けますか…⁉︎」
アリスの本気の瞳にさすがのクーファ国王も…
「おっと…あはははは…
怒らせたかな…⁉︎
ゴメン…ゴメン…で…何だっけ……⁉︎」
「すみません…ここでは…」
守護神達と戯れている純を横目でみるアリスに…
「分かった分かった…」
クーファはパチンと指を鳴らすと二人はたちまち同じ森の離れた場所へと移動した。
「これで良いかい…⁉︎」
「…ありがとうございます…
…では単刀直入に伺わせて頂きますが…
魔王…レックとは…一体どんな…」
「………純のことだな…⁉︎」
クーファ国王の目が鋭く光る…
「……正直……純さんが魔王の転生体だと知った時は胸が張り裂けそうに苦しかったです…」
「ほう…⁉︎
それは…どうしてなのかな…⁉︎」
「国王様…どうしてって…
純さんはあんなに純粋で優しくて…
私は天使属の転生者では無いかと思っていました…
なのに…魔王だなんて…」
「アッハッハッハ…」
クーファ国王は声高に笑い出した…
「国王様…!!!」
「いいかい…アリスちゃん…
それは…偏った価値観だと思うぜ…
誰しも自分に災いが降りかかった時、それが魔王の仕業だと悪神…神々の仕業だと審判だという判断をする。
大体、魔という名前がついて悪者だったら、君達…魔法使いは全員悪者になってしまうぜ…」
アリスはクーファ国王の話を聞いてますます混乱してしまった…
どうして…魔王が異世界の人間に転生して…今、またこの世界に現れたのであろうか……⁉︎
「とにかく…純が魔王レックの転生者だと分かった以上…
俺の前世と関わりもあるし、放っておく訳にもいかねぇな…」
そう言ってクーファ国王は全身に力を込めた。
「うおぉぉぉぉぉぉ…!!!」
純と同じ…腕に浮かび上がった紋章を見てアリスは驚いた…
「に、虹色の紋章……!!!間違いなくこれは…RE:BORN!!!転生者の証…それも覚醒した姿…
それに…ディ…〝DEEN〟ってまさか!!!」
アリスさんが目を見開いて見つめる…その紋章には〝RHEA +〟の文字が刻まれていた。
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