修行の行方

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修行の行方

そして…僕はクーファ先生との修業の仕上げに森の奥にある洞窟で山籠(やまご)もりをすることにした。 山籠もりと言ってもキャンプみたいなもので…いつものようにリンちゃんが食事を運んできてくれる… 全く…甘々な修行だと思われるかもしれないけど… ある時は風の流れを肌で感じて… またある時はずっと水面(みなも)を見つめる… 過去でもなく… 未来でもない。 今、確かに自分がここにいることを感じていた。 心が澄んでいくような気がした… そして…何故か… ミカの顔とあの…美しい大木が頭の中に浮かんでくる… ああ…やっぱり僕は煩悩だらけなのだろうか…⁉︎ 僕はわざわざ部屋には帰らず… 洞窟の中で夜を過ごしていた。 一緒に連れて行かないと彼女達が怒るのでカプセルを持ってきていた… 寂しい思いをさせているからと… 時々はミカとテラと川に入って三人で遊んだりもしていた。 リンちゃんが食事を朝と夕方に運んできてくれるのだが… 修業中に守護神達と川で遊んでいたのを横目で見て僕を軽蔑したような素振りを見せていた… その態度通り…屋敷に帰るとリンは… 「お父様…あのお方に修業など無意味ですわ… 私にも勝てないような人をお父様はどうしてお育てになっておられるのですか…? グランアンジェにお戻りになった方がよろしいのでは…時間の無駄でしかありませんわ…」 と憤慨した様子でクーファ国王に詰め寄っていた。 「まあ…そう言わないで… 面倒を見てやってくれないか…頼むよ…」 「…他でもない…その強さに私が尊敬の念を抱いているお父様の言われる事ですから…構いませんが… あんなに弱いのに…女性にデレデレして… お父様もお強いんですから… 女性にデレデレなんてしないで… もっとシャキッとなさって下さいね…!!!」 「分かった…分かった!!!アハハハハ…」 そして…山ごもり最後の日…いつものように純に夕食を届けに来る途中のリンをつけている気配があった… リンが川べりを歩いていると後ろから一頭のオオカミがリンについて来て、そして襲いかかった… 「くっ…私を甘く見ないほうが良いですわよ…」 リンは魔法で対抗しようとしたが… 襲ってきたオオカミの背後を見ると、恐ろしい数の 目が暗闇に光っていた… オオカミの群れが…リンが持っていた純への食事を狙って集まって来ていたようだった。 睨み合うリンとオオカミ達… 魔法を唱えたり、紋章を発動させたりしてる間にも全てのオオカミが襲いかかってくるだろう。 「ううう…お父様、リンを助けてください…」
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